第12回のレビューはONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人 Season花』です。
本作品は2017年3月に豊洲にオープンした新劇場、「IHIステージアラウンド東京」のこけら落とし公演です。
本公演「髑髏城の七人 Season花」の感想を言う前にまず書かなければならないのは、この劇場「IHIステージアラウンド東京」の感想です。
世界で2番目のオープンで、アジア初。日本にオープンすると知ったとき、演劇好きの私にはたまらなくわくわくするニュースでした!
そしてこの劇場でどんな演劇体験ができるのかとても楽しみにしていました。
そして鑑賞した感想は、、、、まさに未体験の感覚。
体験型劇場!!!!
このブログを読んでいただいている方に本当に体感していただきたい劇場です!!!
何が何でも体感してください!!!!笑
ステージが劇場を囲んで360度あるので、今までのステージでは演出不可能だった演出が可能になるのはある程度想像していたのですが、本当に想像以上でした。。。
舞台転換が必要ないので、2階建ての大きな建物や、水を大量に張った川をステージ上に作り上げたり、普通のステージでは転換上不可能なセットを組み込むことができるのがこの劇場の魅力の一つです。
場面転換による暗転が必要ないため、ストーリーも途切れることなく、まったく違う場面へと進めることができます。
そのため、物語全体にかなりのスピード感が生まれて、ノーカットの臨場感ある映画を観ているような感覚になりました。
なので、劇団☆新感線の「髑髏城の七人」はこの劇場にふさわしい演目だと感じました。
また、非常に印象的だったのはステージを隠す360°全面のスクリーン。
そこに視界一面に広がるプロジェクションマッピングが映し出されます。
その映像とリンクしながら客席が回り、スクリーンが開いてステージが現れる仕組みです。
プロジェクションマッピングは最近の演劇では多く取り入れられている演出手法ですが、スクリーンが自分の視界以上に広いため、ぐっと身体が引き寄せられる感覚があり、とてつもない迫力を感じました。
では「髑髏城の七人 Season花」の感想へ行きたいと思います。
本作品は幾度となく再演が繰り返されている、劇団☆新感線の演目のなかでも代表作です。しかし私はこの作品を観るのが今回が初。演劇好きとしてはお恥ずかしい限りです(*_*)
主役、捨乃助を演じるのは、小栗旬さん。2011年の「髑髏城の七人」公演でも捨乃助を演じており、2回目です。
全編を通してアクションが非常に多い作品ですが、その中でも捨乃助は殺陣のシーンが非常に多い!かつ複雑!そのスピードに圧倒されます。
とにかくかっこいいんですよね捨乃助。小栗旬ならなおさらです。どこにいても圧倒的な存在感を放っています。
また、捨乃助の味方であり敵となる難しい役どころ、無界屋蘭兵衛を演じるのは山本耕史さん。
非常に色気のある役であり、山本さんにぴったり。魅力が溢れ出ていました。
また、中盤から天魔王に昔の記憶を呼び起こされ、悪役となってしまうシーンは本当に観ていて苦しい。じわじわと体が"悪"に侵されていく蘭兵衛の姿は非常に切なく、同時に別人格になっていく恐怖を感じました。
蘭兵衛が天魔王から毒薬を飲ませられるシーンがとても美しかった……。天魔王が蘭兵衛に毒薬を口移しで飲ませるんですよ!口移しですよ!美しいっっ!!!!(テンションあがりましたすみません。笑)
ステージの構造上、演者がステージを縦横無尽に走りまくるシーンが非常に多く取り入れられており、観ているこっちも「これは大変だな・・・」と恐ろしくなるほどの運動量。
それに加えて殺陣のシーンがこれでもかというくらい沢山あるので、「このとんでもない内容を約3か月で85公演もやるの!?」と驚きで震え上がりました・・・。
本当に役者さんって凄いです。。。大尊敬します。
天魔王役の成河さん。
実写版『美女と野獣』でルミエールの吹き替えをされている、めちゃくちゃ歌上手い人だっっ!という知識のみで観劇したのですが、本当にそんな知識のみで観劇して申し訳ありませんでした(>_<)
とんでもなかったです・・・!!!
天魔王という喜怒哀楽の激しい"絶対的悪"という難しい役柄をとても楽しんで演じられているように見えました。蘭兵衛や捨乃助と1対1の立ち回りをそれぞれするのですが、どれも殺陣が早すぎて息をするのを忘れます。めちゃくちゃかっこいい!!!
蘭兵衛との決闘のシーンで、最後の最後、天魔王が後ろ手で蘭兵衛を斬るのですが、その腕の抜く早さ。斬ってからの身のこなし。今まで観てきた殺陣のなかで一番美しかったです。はんぱなかった……ほんと美しかったです。
極楽太夫役のりょうさん。
花魁姿がお似合いすぎます!
艶やかさと妖艶さと女性としての強さを兼ね備えた、男性を翻弄しまくりでとってもかっこいいキャラクターだな~と思いました。物語の後半、極楽太夫には辛すぎるシーンが沢山あります……本当、泣けます。
兵庫役の青木崇高さん。
兵庫は愛嬌のある三枚目な役どころです。バカでおちゃらけているんだけど、男として一本の筋はきちんと通っている、そんなキャラクターで、青木さんにぴったりすぎるなと思いました。ほんと適役!
ひたすら動き回っている役なので、運動量えげつないと思います。
沙霧役の清野菜名さん。
清野さんはアクションのスキルが非常に高いのは前々から知ってはいたのですが、今回がその能力が最大限に発揮されてます!沙霧というキャラクターは清野さんのためにあるんじゃないかと……!元々注目していた女優さんではあるのですが、更に好きになりました!
最初から最後までほぼ出ずっぱり。ひたすら走って戦って、凄すぎます!小柄ですがとても大きな存在感です。
贋鉄斎役の古田新太さん。
とにかくずるいです、あのキャラクター。笑
出てきただけで客席から笑い声が聞こえてきます。
捨乃助の迫力ある立ち回りのシーンでも、贋鉄斎がある意味、捨乃助の見せ場を潰している!?ような最高に笑っちゃうシーンがありました。小栗旬が1対20くらいめちゃくちゃかっこいい殺陣を繰り広げてるのに、小栗旬の後ろにいる新太さんにばっかり目がいってしまう……笑
緩急をつけた笑いをちりばめているのは劇団☆新感線ならではの演出ですね。
また、「髑髏城の七人」は1年3か月にもわたるロングラン公演を行います。
この劇場、「IHIステージアラウンド東京」のこけら落とし公演で約3か月公演される本作品は「髑髏城の七人 Season花」とし、その後、《鳥》《風》《月》と、キャスト、脚本、演出を総入れ替えて公演されます。
次回の「髑髏城の七人 Season鳥」は捨乃助を阿部サダヲさんが、「髑髏城の七人 Season風」では松山ケンイチさんが演じます。
どちらもまた違った切り口の捨乃助になる予感がしますし、今回とはまた異なる演出・脚本とのことなので同じ軸の作品がどう料理されるのかとても楽しみです。
そして、なによりもこの劇場が常設ではなく2020年10月までの限定オープンであるという点に驚きです。
だからこそ、今観れる時に観てほしい。
みなさんも今までにない新たなエンターテインメントを一度直接目で観て体感してみてください!
【公演情報】
『ONWARD presents 劇団☆新感線 髑髏城の七人 Season花』
出演:小栗旬、山本耕史、成河、りょう、青木崇高、清野菜名、近藤芳正、古田新太 etc・・・
公演日:2017/3/30(木)~2017/6/12(月) IHIステージアラウンド東京
観劇日:2017年5月20日(土)18:30公演
2017年6月3日(土)13:00公演