第63回目のレビューは、劇団☆新感線『月影花之丞大逆転』です。
劇団☆新感線のファンの方はもちろん、観劇された方全員が笑い疲れてしまうくらいのはちゃめちゃコメディー作品でした!
Yello/新感線
本作は劇団☆新感線の新シリーズ「Yello/新感線」の1作品目ということで、"蜜にならない"、"上演時間が短い"、"お客さまが楽しく元気になる"を軸として展開される新シリーズとのこと。
この情報を入れずに観劇したのですが、確かにいつもの新感線作品に比べて上演時間が短く(短いといっても2時間5分。通常が超大作すぎるんですよね)、出演者も少ないな~(少ないといっても11名。通常が30名越えで多すぎます)と思っていました。なるほど、こういう新シリーズだったのですね。コロナ禍での上演ということで、演者の安全とお客さんの安全、どちらも考えられた非常に良い体制だと思います。
バカ騒ぎのお祭り作品
劇団☆新感線の作品を観たことある方なら分かる、過去作品のオマージュや名セリフも飛び出し、バカ騒ぎのお祭り作品でした。
ストーリーの途中には曲がいくつも披露され、まるで音楽ライブのよう。
さらに驚いたのが、曲が流れ始めるとお客さんがペンライトを振り出して参加できるというシステム!専用のペンライトがグッズとして販売されていました。
そういう風に客席参加型で盛り上がることができるなんて知らなかった・・買って私も一緒に振りたかった~~~。
場面もコロコロ変わりますが、背景のパネルを入れ替えるのみのスムーズかつシンプルな作り。そして演者の動きに合わせた細かな音と照明の演出に「さすがです」としか言いようがありません。
嵐のように過ぎ去る一つ一つの場面が、観ている観客を飽きさせずワクワクさせ続けますし、全員が全力で食らいついていくこのパワフルな作品は、演劇界と見に来たお客さんを明るくさせてくれる力を持っているなぁと感じました。
おなじみのメンバーとゲスト
古田新太さん、阿部サダヲさん、木野花さん、河野まさとさんをはじめとする劇団新感線常連組。
全員が潰し合うくらいの存在感で、全員ステージ上で大爆発していました。
着替えも多いし、走ったり踊ったり歌ったり叫んだりでとにかく動きが多いですが、大変そうだな~という印象の前に、演劇要素をたっぷり含んだ想像以上のストーリーにこちらはそんなことを思うヒマもありませんでした。
全くそんな展開ではなかったのに、古田さんと阿部サダヲさんが突然刀を持ち、殺陣を披露し始めたときには「いや、どんな展開?」「新感線といえば殺陣だけども!」と心の中でツッコんでしまいました。
なんでもアリなんだな、と。この正解でも間違いでもない、訳の分からないものを観ているときの予測できない感じが大好きなんですよね。
個人的に、西野七瀬さんの声のお芝居がとても好きになりました。踊ったり叫んだり、ベテラン組に交じって非常に大変だったかと思いますが、更にいろいろな舞台作品に出演してほしいと思いました。
ドラマや映画では見ることのできない、演劇空間だからこそ表現できる突拍子もないストーリーや演者のはじけっぷりは、ここ最近観劇した中でもダントツでした。さすが劇団☆新感線作品です。
【公演情報】
2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow ⚡新感線『月影花之丞大逆転』
出演:古田新太 阿部サダヲ/浜中文一 西野七瀬
河野まさと 村木よし子 山本カナコ 中谷さとみ 保坂エマ 村木仁/木野花
東京公演:2021年2月26日(金)~4月4日(日) 東京建物 Brillia HALL
大阪公演:2021年4月14日(水)~5月10日(月) オリックス劇場
観劇日:2021年3月27日(土)17:30公演