第77回目のレビューは、シス・カンパニー公演『ミネオラ・ツインズ』です。
大原櫻子さん主演、双子を一人二役で演じられるということで、面白そう!と思い情報解禁時からとても楽しみにしていた作品です。
演出からセリフひとつひとつまで全てがとにかくお洒落で、洗練された空間を堪能できました。
主人公は双子
主人公は一卵性双生児のマーナとマイラ。この二役を演じたのが大原櫻子さんです。
彼女の声が大好きで、以前にも何回か彼女の作品を観劇しているのですが、やっぱり上手。今回は二役を演じ、かつ様々な年代を演じ分けているのでかなり難しい役だと思います。ですが、二役をしっかりと演じ分け、かつ体力的にも大変な複雑なストーリー展開をこなす彼女は素晴らしくかっこよかったです!
1人○役??
出演者は5人ですが、登場人物は5人ではありません。
全キャストが一人何役もこなしており、視覚的にとても楽しい作品でした。
出演者は大原櫻子さん、八嶋智人さん、小泉今日子さん、王下貴司さん、斉藤悠さんの5名。ですが、全員が2役以上を演じているのでステージ上を出たり入ったり。
非常に複雑な展開なのですが、別のキャラで先ほどと同じキャラに絡んだり、演じ分けるからこその面白さがありました。
小泉今日子さんはなんと20代の少年を演じたり、一方で50代の女性を演じたりと、性別も年代もバラバラのキャラクターを幅広く演じ分けていらっしゃいました。八嶋さんは10代の少年を2役演じられていて、年齢も近いキャラクターなので違いをしっかり見せていかなければならなく難しいと思いますが、八嶋さんのポテンシャルが存分に発揮されていて、天真爛漫な少年と知的な少年の二役を見事に演じられていました。
役者が入れ替わり立ち代わり様々なキャラクタ―でステージに現れるというのは演劇だからこそ味わえる面白さだと思いますし、これぞ演劇体験!といった感覚でした。
洗練された演出
ステージが劇場の中心に設置され、奥と手前にそれぞれ客席がある状態。演者は中央にある左右の扉から出入りするという状況でした。
中央にステージが置いてある演出が個人的にとても好きなんですよね。
単純に演者との距離が近くなって、演者の感情表現をより近くで感じられることが嬉しく、ステージを挟んで奥にお客さんが見えるので、お客さんの反応を見ながら演劇を楽しめるというのも同じ空間を共有できている感じがしてとても好きです。
また途中途中にパワーマイムという演劇手法を用いているのが印象的でした。小道具を使わず場面描写をする手法ですが、状況説明として非常に分かりやすく、視覚的にも面白いシーンの数々が繰り広げられていました。
さらにアメリカのポップミュージックをかけて当時の雰囲気を演出したり、流れるように次のシーンに移ったりと、まるで海外で観ているようで、演出家さんは海外の方かと思ったのですが、藤田俊太郎さんという日本の方でした。
いちいちお洒落で(褒めてます)、青山で観るにはふさわしい演目でした。
【公演情報】
シス・カンパニー公演「ミネオラ・ツインズ」
作:ポーラ・ヴォーケル
演出:藤田俊太郎
出演:大原櫻子、八嶋智人、小泉今日子、王下貴司、斉藤悠
東京公演:2022年1月7日(金)~1月31日(月)スパイラルホール
観劇日:2022年1月15日(土)18:00