『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

舞台『行先不明』を観劇した感想(ネタバレあり)

第79回目のレビューは、佐藤アツヒロさん主演「行先不明」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20220327004315j:plain

 

旅行代理店を舞台としたワンシチュエーションコメディ。

とある日、仕事仲間やお客さん全員を巻き込む大事件が発生し、解決に向けて奔走するドタバタ感多めの作品でした。

 

 

行先不明になったものとは・・

 

「行き先さえ決めていただければあとは全力で旅行のお手伝いをいたします!」がモットーのとても親身な旅行代理店で、ある日、社員が毎月積み立てている積立金が勝手に銀行から引き落とされていることが分かり大混乱!

 

なんとお金が「行先不明」になってしまったという事態に。

早速全員で犯人捜しを始めることになったのです。

 

癖の強いキャラクターたちがステージ上で繰り広げる会話劇は、終始クスっと笑ってしまうものが多く、現実でよく見る「こういう人いるわ~」という”あるある”も入っていたりと共感もしてしまいました。

 

お金の行先は

 

犯人らしき人を探していくと、数か月前に会社を辞めた経理の女性が怪しいということになり、呼び出すことに。

 

呼び出しされた彼女は、派手な衣装に先週までドバイに旅行へ行っていたなど、働いていた頃とは全く様子が異なっていて、いかにも横領したような雰囲気。

最初は横領事件に全く聞く耳を持たなかった彼女ですが、話が進むうちに彼女がこの事件の首謀者ということが分かります。

ただ、横領はしておらず、「お金の在り処だけは分かっているので、みんなの力だけで見つけ出してほしい」という言葉だけを残して去っていきました。

 

徐々に解決に近づいていく展開は、キャラクター達と一緒に謎解きをしている感覚になり、また、人と人との繋がりの中で相手を尊重するといった、大切にしていかなければならないことを再認識させられる作品でした。

そういったことが希薄になってしまうことで生じた歪みは元通りにするのがなかなか難しく、今回の事件も彼女が会社や一緒に働いていた人たちへの不満から計画したものでした。

結局、お金は横領されたわけではなく、別の銀行へとそっくりそのまま移動されていたのでした。

 

悪気があったわけでもなく、ただ必死に生きているだけなのに気づかぬうちに誰かを傷つけてしまうというのは、仕事仲間や友達などではありうる場面だなと思います。

全員が幸せに仕事をするなんて難しいとは思いつつ、全ての人が快適にお互いを尊重しあって生きていく、そんな素敵な社会になったらいいな、なんて観劇後に考えてしまいました。

 

 

 

今回観劇したのが大千秋楽公演ということで、カーテンコールでは演者の方からのご挨拶と各キャラクターの好きなセリフを発表するという、最後にカンパニーの和やかな雰囲気を感じられました。

 

 

【公演情報】

 

「行先不明」

 

 

作・演出:藤井清美

 

出演者:佐藤アツヒロ、五関晃一(A.B.C-Z)、馬渕英理何、伊藤萌々香、ヒデ(ペナルティ)、生田輝、中山慎悟、佐藤銀平、小林美江、福田鉄球、真琴つばさ

 

愛知公演:2022年3月4日(金)~3月5日(土) 御園座

東京公演:2022年3月12日(土)~2022年3月21日(月・祝) サンシャインシティ劇場

 

 

観劇日:2022年3月21日(月・祝)12:00公演