第86回目のレビューは、ミュージカル『スワンキング』です。
橋本良亮さんが本格ミュージカル初主演ということで、注目されている本作。
さらに、新作オリジナルミュージカルとして、今回初上演の作品です。
史実でも圧倒的美貌だったとされる狂王・ルートヴィヒ二世を橋本さんが演じ、その気品さと美しさに陶酔してしまいました。
そして、ミュージカルを彩る楽曲の数々が素晴らしく、心躍る2時間半でした!
音楽をこよなく愛する王・ルートヴィヒ二世と天才的な作曲家・ワーグナー
ドイツ統一前の前進であった複数の諸国の集合体、ドイツ連邦。その連邦の1国であるバイエルン王国の若くして王となったルートヴィヒ二世。
ルートヴィヒ二世は音楽と建築をこよなく愛していたのですが、国中からの批判を浴び、"狂王"と呼ばれたほどの浪費を繰り返す国王でした。
そんなルートヴィヒ二世は天才作曲家のワーグナーの才能に惚れ込み、多額の報酬を与え創作活動を支えます。
ルートヴィヒ二世の目指すものは「芸術によるドイツ統一」。ワーグナーの音楽でドイツ統一を目指そうとしていたのです。そんな無謀な夢に周囲の反発を受けながらも、ワーグナーに多くの金を貢ぎ続けるルートヴィヒ二世。
目を輝かせてワーグナーを迎え入れるルートヴィヒ二世のパワフルさや国王としての高貴な姿を橋本さんが力強く演じられており、美しくて長いマントを自在に操るその姿が本当に綺麗でステキでした。
さらに橋本さんは今年、ミュージカル「ネクスト・トゥ・ノーマル」で本格ミュージカル初挑戦されていましたが、立て続けにミュージカルへの出演が続いております。
今年4月に橋本さんが出演された「ネクスト・トゥ・ノーマル」も観劇しており、レビューも書いておりますのでぜひご覧ください。
天才的な作曲家であるワーグナーを演じるのは別所哲也さん。
別所さんの厚みのある歌声に感動し、ワーグナーのだらしない姿がまたどこか愛らしくもあり、ワーグナー別所さんがステージ上をピリッと締めてくれる圧倒的な存在感がありました。
ステージを彩る楽曲の数々と豪華な衣装
ほぼセリフの部分がなく、すべて楽曲に載せてストーリーが展開していきましたが、オーケストラの重厚感ある演奏に乗せて、キャラクターの気持ちがしっかりと伝わる楽曲の数々でした。さらに、豪華でボリュームのある衣装、特に女性陣のドレスがとっても可愛らしく、ステージを豪華に彩ってくれていました。
また、場面転換がかなり多かったのですが、ステージを回転させたりなどの大きな転換ではなく、セットの位置を少しずらして別場面に仕上げる技術は素晴らしかったです。シンプルな中にも趣向を感じる転換。スムーズかつコンパクトな転換にも関わらず、しっかりとそれぞれが別場面として成り立ち、途切れることなくストーリーが進み続けていくことで非常に観やすかったです。
【公演情報】
ミュージカル「スワンキング」
脚本・詞・演出:G2
音楽:荻野清子
出演:
橋本良亮(A.B.C-Z)、別所哲也、梅田彩佳、渡辺大輔、今江大地(関西ジャニーズJr.)、牧田哲也、夢咲ねね、中井智彦、藤田奈那、天宮良、朝隈濯朗、彩橋みゆ、荒田至法、大音智海、加賀谷真聡、河合篤子、後藤晋彦、島田彩、俵和也、堤梨菜、安福毅、山田裕美子
公演日
東京公演:2022年6月8日(水)~6月17日(金) 東京国際フォーラム ホールC
大阪公演:2022年7月1日(金)~7月3日(日) オリックス劇場
愛知公演:2022年7月9日(土)~7月10日(日) 刈谷市文化総合センター大ホール
福岡公演:2022年7月17日(日)~7月18日(月・祝) キャナルシティ劇場
観劇日:2022年6月13日(月)18:00公演