『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

宝塚宙組ミュージカル『カルト・ワイン』を観劇した感想(ネタバレあり)

第88回目のレビューは、宝塚宙組ミュージカル「カルト・ワイン」です。



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宙組の桜木みなとさん(愛称:ずんさん)が主演を務められている本作。

 

驚異的な味覚を武器にワインの世界で成り上がっていく男の人生をずんさんが熱演し、ハラハラドキドキなシーンあり、大人な恋愛あり、ずんさんの魅力たっぷりな見どころ三昧の作品でした。

 

貧しい少年が名声と大金を手に入れるまで

 

貧しい一人の少年がワインの密造に手を染めて、ワイン業界を上り詰め、世間を揺るがす大事件を巻き起こすまでがテンポよく展開されていきます。

 

チンピラシャツ着ているようなギャングだった少年が、ピシッときれいな真っ白なスーツを着るまでの一連のサクセスストーリーは観ていて気持ちがいいです。

 

ずんさん演じるシエロ・アスールは、中米のホンジュラスで育った10代の少年。まだまだ未熟な少年で、自分の入っていたギャング集団に反発したことをきっかけにアメリカへ逃亡することに。

不法滞在なので生活すら苦しい日々が続きますが、とある人との出会いがあって運よくレストランで働くことができ、そこでシエロはワインと出会います。

 

シエロはホンジュラスから友人のフリオとともにアメリカへ来るのですが、そのフリオは瑠風 輝さん(愛称:もえこさん)が演じています。

 

ふたりは幼馴染で親友であり、いつもふたりでつるんで歌ったり踊ったり、苦しい中でも支えながら生きてる2人が健気で応援したくなります。

 

もえこさんのフリオがとっても愛らしいんです。シエロを慕う一方でシエロの言動に振り回されてステージ上であたふたしているのが可愛らしい!!

背も高くてかっこいいもえこさんが、気弱な青年を演じているのがまた良い。可愛い!

 

レストランで働いてるなかでふたりはアマンダという女性と出会い、なんと三角関係になってしまい雲行きが怪しく・・・さらにはお互いの目指す将来像が異なって、シエロはワインの密造で大金を、フリオは夢だったシェフを目指して、別々の道を歩むことになってしまい・・・。

 

真っ当な生き方をしたいと願うフリオと、貧しい生活を経験しているからこそ、悪事を働いてでも名声や地位、自分自身への自信を手に入れたいシエロ。親友だけれどもそれぞれ別の道を歩むこととなります。

 

数年後、ばったり再会したふたり。

フリオは「ワイン詐欺なんてもうやめろ」と、シエロを想うからこそ足を洗うよう懇願します。

でもシエロはきっぱりとこう言うのです。「ホンジュラスにいたときは望まず悪事を働いていた。でも今は自ら望んで悪事に手を染めている。」と。

 

仲違いのようなこのシーンは、悔しさや悲しみで胸が苦しくなりました。

 

作品を彩る楽曲の数々

 

様々なジャンルの楽曲が満載で、ホンジュラスやアメリカそれぞれの雰囲気を表現した楽曲や、シエロの成長も感じられる楽曲がふんだんに盛り込まれていました。

 

はやくこの音源が欲しい・・・発売を首を長くしてお待ちしております!!!

 

2幕で、シエロをはじめとするワインコレクターが、自信のあるワインを持ち込み飲み比べ対決をするというシーンがあるのですが、実際にワインを飲むような演出ではなく、ボクシング対決のようにグローブをはめて戦っている演出になっていてワクワクしました。

テンポよく進んでいきますし、ダンスも可愛らしくて、とてもポップで楽しいシーンでした。

 

 

さらに、「コーラスの宙組」と言われるほどコーラスに定評のある宙組ですが、本当に今作も素晴らしかったです!とにかく耳心地のよい歌声で、ノイズなくふわーっと劇場の奥まで響くコーラスを永遠に聴いていたいと思いましたし、そのコーラスをバックに歌い上げるずんさんの歌声もまた素晴らしい!!!

 

初めて宙組公演を観劇した際からずんさんの歌声の低音の響き・美しさに心をがっしりと掴まれたのですが、今回は主役ですから!!!歌声をたくさん聴かせていただけました、、嬉しい、、、(涙)

そして主役ですから、ほぼ出ずっぱり、、、これもまた嬉しい、、、(涙)

 

茶目っ気たっぷりな少年から、自信に満ち溢れた大人な男性まで、今作も高い演技力で魅せてくれるずんさんのポテンシャルの高さに脱帽です……。

前作のNever Say Goodbyeの際も思いましたが、とにかく表情の作り方が素晴らしくて、キャラクターを魅力的に演じてくださいます。

 

そして観劇する際、毎回そうなんですが、主人公に感情移入しすぎるせいか、バットエンド系の物語ですと、数日間落ち込みを引きずってしまう面倒な思考で…。

今作はシエロが詐欺で捕まってしまうので、どうなってしまうんだろうと心配だったのですが、ラストもほっこりで、未来に希望が見える、とても素敵で暖かい終わり方でした。

 

お洒落な衣装と演出

 

ワインのようなボルドーやモスグリーンといった落ち着いた深みのある色を多用したスーツで大人な魅力たっぷりに、一方で原色に近いポップな色彩を使った中米感あふれる衣装も登場し、とてもきれいな衣装の数々に目を奪われました。

 

さらにステージ上にはワインセラーのような壁が設置されているのですが、そのワインのラベルに照明が当たると浮かび上がる演出になっていて、ラベルの光が幻想的でアンニュイな雰囲気を醸し出していました。

 

 

お芝居のあとにフィナーレも1曲あり、お芝居のときとはガラッと変わって、笑顔が爆発しているずんさんが最高でした!

わたしはこの笑顔に心奪われたんだよなぁとしみじみ。

さらには挑発するような表情や女性との官能的な絡みもあったりと、様々な表情を見せていただいてうっとりしてしましました。

 

この「カルト・ワイン」に観たいずんさんが全て入っていました!ありがとうー!Happiness!

 

 

【公演情報】

 

ミュージカル・プレイ「カルト・ワイン」

 

作・演出:栗田 優香

 

出演:寿 つかさ、松風 輝、桜木 みなと、秋奈 るい、花菱 りず、留依 蒔世、瑠風 輝、希峰 かなた、澄風 なぎ、琥南 まこと、湖々 さくら、惟吹 優羽、雪輝 れんや、花城 さあや、湖風 珀、風色 日向、春乃 さくら、凰海 るの、夢風 咲也花、有愛 きい、彩妃 花、琉稀 みうさ、嵐之 真、真白 悠希、梓 唯央、楓姫 るる、美星 帆那、聖 叶亜、鳳城 のあん、風羽 咲季/五峰 亜季

 

東京公演:2022年6月17日(金)~6月26日(日)東京建物Brillia HALL

大阪公演:2022年7月2日(土)~7月7日(木) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

 

観劇日:2022年6月18日(土)11:00公演