今回のレビューは、舞台「陽気な幽霊」です。

イギリスの劇作家ノエル・カワードが書いたファンタジーな戯曲作品。
100年前に書かれた物語ではありつつも、少数精鋭なる役者のみなさんの熱量溢れる芝居を堪能できる濃厚な会話劇でした。
田中圭さん演じる作家のチャールズは次回作の参考にしようと門脇麦さん演じる妻のルースと相談して、自宅に霊媒師を招き、降霊会を開催することに。霊は出ず、会は無事終了したかと思ったら、チャールズの元妻・エルビラが幽霊となってチャールズの目の前に現れた!
幽霊が見えるようになったというファンタジー要素たっぷりなストーリーで、かつ、海外戯曲ならではの会話劇が繰り広げられ、二人の妻たちの間に挟まれ大混乱のチャールズの言動がひたすらに面白おかしいです。
幽霊であるエルビラの声はルースには聞こえないので、チャールズとの3人の会話はすれ違いコントのように誤解を生んでいき、事態が混乱していくのですが、パワフルなキャラクター達が、物語の後半になるにつれて更にかき乱していきます。
田中圭さん演じるチャールズは幽霊の元妻と現在の妻との間で大慌て。
田中圭さんの魅力の一つである“受けのお芝居”が存分に堪能できるため、妻たちに振り回されている姿は、安心感すらある振り回されっぷりでした。
田中さんは久々のコメディー作品出演になるかと思いますが、やはりコメディーとの相性抜群ですね。芝居が上手い人ほど受けのお芝居も良くて、心の底から観ていて楽しいです。
幽霊としてチャールズの前に現れるエルビラを演じるのは若村麻由美さん。とにかく…美しい!
美しすぎました!余裕を感じさせる大人かつ妖艶な女性で、あの手この手でチャールズを翻弄していくのですが、翻弄されてしまう気持ちが十分にわかるほど、とてもチャーミングで強い女性を演じられておりました。衣装から髪の毛まで真っ白な姿で、現実世界とは違和感のある存在として、少し浮いていてもおかしくないほど!の浮遊感も身に纏った存在でした。
とにかく凄かったのは霊媒師のアーカティ夫人を演じる高畑淳子さん。終始テンションが高く、周りを振り回しまくりのアーカティ夫人を高畑さんが演じたらもう誰にも止められない。
暴れ馬の如く物語をかき乱し、風変わりな人物に説得力を持たせて演じていらっしゃいました。
チャールズの現在の妻ルースを演じる門脇麦さんも、とにかく複雑で長いセリフを早口でまくしたてるように喋る喋る!かなりの台詞量にも関わらず、そう感じさせないのが素晴らしく、ルースとチャールズの夫婦喧嘩やエルビラとのバトルも本作のハイライトでした。
ベールのような半透明の幕を巧みに使いながら場面を展開していく演出を初めて拝見し、光を当てると向こう側が見えない特性を上手く生かしていましたし、幽霊役である若村さんが身に纏っている衣装の布と似たような性質だったので、ファンタジー要素を空間全体に感じる演出でした。
【公演情報】
舞台『陽気な幽霊』
作:ノエル・カワード
演出:熊林弘高
出演:田中圭、若村麻由美、門脇麦、天野はな、あめくみちこ、佐藤B作、高畑淳子
日程
東京公演:2025年5月3日(水)~5月29日(木) シアタークリエ
大阪公演:2025年6月2日(月)~6月8日(日) 梅田芸術劇場 シアタードラマシティ
福岡公演:2025年6月11日(水)~6月15日(日) 福岡市民ホール 中ホール
観劇日:2025年5月17日(土)18:00公演