『書きます!#観劇レビュー』

20代の管理人が鑑賞した舞台のレビューを書き残していきます!

舞台『阿呆浪士』を観劇した感想(ネタバレあり)

 

第55回目のレビューは、舞台『阿呆浪士』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20200114183720j:plain

 

新国立劇場 中劇場にて公演中の本作は、2020年の幕開けにふさわしいお祭り騒ぎな作品で、終始笑いの絶えない、でも最後はホロっとさせるボリューム満点の作品でした!!!

 

かの有名な「赤穂浪士」。その赤穂浪士を題材とし、エンターテイメント作品へと昇華させた本作。

 

主役である、長屋に住むアホでお調子者の魚屋、「八」を演じるのはA.B.C-Zの戸塚祥太さん。

八はひょんなことから赤穂浪士血判状を手にしてしまい、自身を赤穂浪士と嘘をついてしまう。その嘘がさらなる嘘を呼び、本物の赤穂浪士として討ち入りを決行することに・・・!

阿呆らしく生きて、阿呆らしく散る。そんな八の生き様はどこか憎めなくて愛らしく、一人の男としての意地を感じて胸が熱くなりました。

 

お調子者の八と戸塚祥太

 

 

八を演じる戸塚祥太さんは毎年主演の舞台をされ、昨年はデビュー前のビートルズを題材とした「BACK BEAT」で主演をされておりました。

 

以下にレビューを記載しておりますので、ぜひご覧ください!

 

www.kakimasu-review.com

 

 

八はお調子者ゆえ感情豊かで、そのさまざまな感情が戸塚さんの表情にしっかりのっていて、こんなにコロコロとしっかり表情を変えて演じられる戸塚さんの演技力に感動しました。

 

BACKBEATで演じられたスチュアートとは全く異なるキャラクターをここまでの完成度で演じられている戸塚さんは、憑依型の役者なのだなぁと思わざるをえません。

 

戸塚さんはコメディ作品への挑戦は今回が初めてとのことですが、そんなことは微塵も感じさせず、粋で快活で、時に茶目っ気があり、でも芯にはしっかり男気のある八を全身全霊で魅力的に演じておりました。

 

また、本当の赤穂浪士の一人、田中貞四郎を演じるのはふぉ~ゆ~の福田悠太さん。

福田さんも舞台経験が豊富で、本作のコミカルなシーンもシリアスなシーンもきっちりと演じ切り、その役者としての表現力に非常に器用だという印象を受けました。

 

田中貞四郎というキャラクターは大石内蔵助や魚屋の八たちに翻弄され、幾度となく振り回されます。赤穂浪士としての使命を果たすのか、それとも一人の人間としての人生を選ぶのか、悩んだ末にひとつの結論を出します。その最期の雄姿はとても勇ましく、福田さんの役者魂を感じるシーンでした。

 

 

雪降る討ち入り

 

 

物語の後半、しきりに降り続ける雪が印象的でした。

 

討ち入りの決行が決まってから雪が降り続け、吉良邸へ討ち入り吉良の首を取る、その瞬間まで、雪に見立てた紙吹雪が舞台上に積もっていきました。ここまで多くの紙吹雪を使った演出は見たことなく、とても印象的なシーンになっているなぁと感じました。

 

大きな舞台転換はないのですが、最後の最後に大仕掛け。

 

最後に「阿呆浪士」一座が作り出す江戸小屋のような雰囲気を感じることができ、自然と顔がほころんでしまいました。

 

また、劇中に観客がうちわやペンライトを振って参加できるシーンがありました。演者も観客も全員が参加してお祭り騒ぎができる演出は、あの空間にいるすべての人が笑顔になり、幸せな演出ですよね。

 

東京公演は1月24日まで公演中で、チケットもまだ発売している日もございます。

とてもエンターテインメント性に溢れた作品ですので、ぜひご覧ください!!!

 

 

【公演情報】

 

パルコ・プロデュース『阿呆浪士』

 

脚本:鈴木 聡
 
出演:戸塚祥太A.B.C-Z)、福田悠太(ふぉ~ゆ~)、南沢奈央伊藤純奈(乃木坂 46)宮崎秋人堺小春、八幡みゆき、新良エツ子、佐藤誓、おかやまはじめ、松村武、玉川奈々福竹内都子小倉久寛 ・・・etc
 
公式サイト:https://stage.parco.jp/
 
東京公演:2020年1月8日(水)~24日(金) 新国立劇場 中劇場
 
大阪公演:2020年1月31日(金)~2月2日(日) 森ノ宮ピロティホール
 
 
観劇日:2020年1月11日(土)13:30公演
    2020年1月14日(火)13:30公演
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽ばたけ小劇団シリーズ④ 座・遅咲会「絡縺」を観劇した感想

第54回目のレビューは、座・遅咲会11月公演「絡縺」です。

 

座・遅咲会とは、女優 中川ミコさんが主宰の劇団で、今年1月~12月まで毎月1本ずつ、12か月連続公演を行うという年間プロジェクトを現在開催しています。

 

本作はその年間プロジェクトの11月公演ということで、今回も観劇してきました。

 

5月公演として上演されていた「愛need獣」のレビューも記載しておりますので、ぜひご覧ください。

www.kakimasu-review.com

 

今回の「絡縺」は、ストーリーがかなりしっかりしていて、観ていてぐっと引き込まれました。

先の読めない展開が続き、観ているこちらも予想していない展開に何度も驚いてしまいました!!!

 

ワンシチュエーションで、主人公が危機的状況になり、何かを必死に隠そうとする姿って面白いですね。観客は全てを知っているからこそ、隠そうとする姿がバカバカしくて、何度も笑ってしまいました。

 

アニメっぽい言い回しや演出が多いかなぁという印象で、なかなか実際に言うとなると難しいセリフが多かったように感じましたが、役者さん方が本当に上手で、みなさん自然に演じられていて、とても観やすかったです!

 

 

【公演情報】

 

 

座・遅咲会11月公演「絡縺」

 

脚本・演出:大和

 

出演:中川ミコ、千綿勇平、大柿誠、藤沢友千葉、円田はるか、陽向海真珠、岡崎賢、前田直紀、杉島俊輝

 

日程:2019年11月19日(火)~11月24日(日)

 

会場:小劇場てあとるらぽう

 

観劇日:2019年11月23日(金)19:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『相対的浮世絵』を観劇した感想(ネタバレあり)

第53回目のレビューは、「相対的浮世絵」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20191106212750g:plain

 

下北沢 本多劇場で上演中の本作は、20年の時を経て再会した兄弟を軸に、不思議な空間で巻き起こった彼らの「人生」を描いた作品でした。

 

 

現在を生きる二人と時間が止まったままの二人

 

 

主人公の岬智朗と教師をしている関は高校からの同級生。

彼らは仕事や家庭に問題を抱え、行き詰っていた。

 

ある日、「事故」で死んだはずの弟と友人が突然目の前に現れた。しかも「僕たちは幽霊じゃない」なんて言っている。

 

なんとも鵜呑みにはできない状況だが、そんな二人に振り回される智朗と関。会えて嬉しい一方、会いたくない気持ちもあったのだ。

 

20年前、達郎と遠山が亡くなった事故は部室の火災で、当時4人は部室にいた。その原因は智朗のタバコの火。そして智朗は遠山を燃え盛る部室に残して逃げ出してしまい、弟の達郎は智朗を助け出そうと部室へ入り、命を落としていた。

 

 

自分達のせいで亡くなった二人が突然目の前に現れた。

 

複雑な気持ちを抱えながらも、彼らに付き合ううちに、昔話に花が咲く。

 

昔話は徐々に「事故」へ話が及び、不穏な空気が流れ始める。あの日、本当は何が起こったのか、誰の言葉が正しかったのか。

4人があの「時間」を思い出した時、4人の時間が動き始めるのだった。

 

 

本作の台詞はなまりのある方言で、場面転換がなく動きの少ない会話劇である本作に方言台詞が作品全体の緩急をつけていました。

 

 

時折出てくる「事故」の言葉に智朗と関は何ともいえない表情をするのですが、そんな二人を許しているのかしていないのか、亡くなった達郎と遠山は明るい表情で「事故」という言葉を発します。

 

現在を生きている二人にとって、「事故」は過去のもの。20年という月日が過ぎ、記憶も出来事も薄れていたのです。

しかし、その「事故」のせいで亡くなった二人は時間が止まったまま。彼らの人生は「事故」で終わっているのです。

 

 

4人があの「事故」ときちんと向き合ったとき、今まで隠していた彼らの本音が溢れ出てきます。

緊張感で空気が張り詰め、観劇しているこっちまで息をするのを忘れてしまうくらいの緊張感でした。

 

 

時間を巻き戻すことはできないけれど。

 

 

自分の人生を見つめ直すことはできます。

本作からこんなことを感じました。

 

智朗と関は、自分自身を嘘や悪行で固め、後戻りもできない状況で日々生きていました。

 

そんなとき、死んだはずの達郎と遠山が目の前に現れたことで、自身の過去を見つめ直し、現在を見つめ直すことができたのです。

 

 

見つめ直したことで、仕事も家庭も全て失った二人でしたが、とても清々しくて、暗転直前まで笑い合っている二人がなんとも素敵で、印象的なシーンでした。

 

人間として一回り、いや、二回り大きくなった姿を最後に見せてくれるのでした。

 

 

今回、NONSTYLEの石田さんが出演されるということで本作を観劇しました。

 

石田さんは何度も舞台出演経験があり、非常に演技が繊細で上手く、以前から大好きな芸人さんです。

 

今回も、主人公の親友である関を、既存のイメージとは異なるキャラクターでしたが違和感なく演じており、やっぱり演技上手だなぁと再確認させてもらいました。

 

 

【公演情報】

 

『相対的浮世絵』

 

作:土田英生

 

演出:青木豪

 

出演: 山本亮太、伊礼彼方、石田明、玉置玲央、山西惇

 

日時:

東京公演:2019年10月25日(金)〜11月17日(日) 下北沢 本多劇場

大阪公演:2019年11月22日(金)~11月24日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

 

 

観劇日:2019年11月2日(土)18:00公演

『渦が森団地の眠れない子たち』を観劇した感想(ネタバレあり)

第52回目のレビューは、「渦が森団地の眠れない子たち」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20191015212809j:plain

 

藤原竜也さんと鈴木亮平さんがダブル主演の本作。

 

そしてなんと、お二人が小学生役を演じるという非常に面白そうな作品で、情報解禁後から大きな話題となっておりました。

 

 

ここはとある団地。

震災によって団地に引っ越してきた小学6年生の圭一郎(鈴木亮平)は、団地のキングと名乗る同級生の鉄志(藤原竜也)と出会い、共に遊ぶようになる。そして彼らは、母親が双子で“いとこ”だったことを知る。鉄志は圭一郎と“血縁の儀”なるものを交わし親友と呼ぶ。しかし、圭一郎は鉄志のことを好きになれない。鉄志は圭一郎の最も嫌いな人間だったのだ・・・。

 

 

大人が演じる子ども

 

 

子どもは正直だ。自分の言いたいことは言うし、「バカ」とか「アホ」とか、大人が普段口にしないような言葉も直接、物怖じせず言う。そんな姿を大人が演じることで、子どもの幼稚さや愛嬌や、時には社会を知らない滑稽さなんかが浮き出てくる。

 

しかし、子どもながらに人間関係に悩み、自分の気持ちを抑えたり相手に合わせたりすることはある。

 

 

本作は大人になった圭一郎が小学生時代を回想することで始まります。

 

大人の圭一郎がその当時の自身の気持ちを吐露しながら、舞台は小学生時代に戻っていくのです。

 

圭一郎を演じる鈴木亮平さんは、大人と子どもを場面によって演じ分けながら物語は進みます。

一方、団地のキング・鉄志を演じる藤原竜也さんは最初から子どもとして登場。彼の姿を見て大人の圭一郎は「僕の最も嫌いな人間でした」とつぶやくのです。

 

 

そう言った後に暗転し、子どもの頃のシーンへと移る転換は、ドラマ第1話の導入シーンを観たようで物語に入りやすい印象を受けました。

 

そして場面ひとつひとつにタイトルが付いており、場面として独立しながらもそれぞれが別の場面に意味をもたらし、繋がっている面白さもありました。

 

 

子どもの喧嘩といじめ

  

小学生の喧嘩やいじめを大人が演じる。

 

この演劇的表現は、私自身に新たな視点を持たせてくれたと思いました。

 

喧嘩やいじめは、大人の世界でも消えません。私たち大人が、社会で出くわす喧嘩やいじめも、この子どもたちと何ら変わらないじゃないか、そう思いました。子どもの延長線上に大人がいて、彼らも数年後大人になる。

 

子どもだからこその薄情な無責任さが、観ている大人達に刺さるのです。

 

震災の余震は続き、劇中でも何度か余震が起こりました。

震災によって人々の心は荒み、余裕がなくなる。圭一郎も震災によって心に深い闇を負い、動物を殺すことで生きている実感を得ているという事実を鉄志に見つかってしまいます。

 

また、鉄志は母親から暴言を吐かれ、まともな愛情を与えられていませんでした。

 

だから鉄志は友達に対して暴力的な言葉や態度を使うのです。

 

社会や大人が生み出した理不尽さが子どもたちの“暴力”という形で表れます。

 

全体を通して、子どもというフィルターを通した社会のひずみ・世の生きづらさを映した作品なんだと思いました。

 

 

藤原竜也vs鈴木亮平

 

 

鉄志と圭一郎はいじめをきっかけに大喧嘩をして対立します。

 

藤原竜也さんと鈴木亮平さんという実力派のお二人だからこそ、対立する子どもという構図が非常に面白く、それぞれの良さが存分に発揮されている設定だと思いました。

 

 

喧嘩のシーンでお互いのパワーをこれでもかと相手にぶつけ合う。

 

殴って泣いてわめいて叫んで、自分をさらけ出す鉄志と圭一郎。

 

どこかそんな二人が羨ましくも思ったり。

 

大人の設定ではなかなかあそこまで全身全霊で相手に怒りをぶつけることはないので、人の本当の姿を二人を通して見せてもらったような気がしています。

 

本作は、大人の圭一郎が子どもの鉄志を見つめるシーンで始まったのですが、物語の終わり、大人の鉄志を子ども姿の圭一郎が見つめるというシーンで終わったのが印象的でした。始まりと逆の立場で終わっているのと同時に、大人になってもまだ会えていない、ということを表すシーンでもありました。

 

観ているうちに、重たいテーマの作品なのかとも思ったのですが、随所に笑ってしまうシーンがちりばめられ、ポスター同様ポップさもありつつ、シリアスなシーンもありという、とにかく感情の忙しい作品でした。

 

私も小学生のとき、喧嘩した友達同士の間に入って、それぞれを取り持ちながら仲裁したな~頑張ってたよなぁ~なんて、舞台を観てるときに思い出したり(笑)

 

最近観劇した中では非常に好きな作品でした。

 

基本買わないのですが、パンフレットも購入してしまいました・・・!

数年度、「あ~こんな素敵な作品あったよなぁ」と想い返したくなる作品でした。

 

 

 【公演情報】

  

『渦が森団地の眠れない子たち』

 

作・演出:蓬莱竜太

 

出演: 藤原竜也鈴木亮平、奥貫 薫、木場勝己、岩瀬 亮、蒲野紳之助、辰巳智秋、林 大貴、宮崎敏行、青山美郷、伊東沙保、太田緑ロランス、田原靖子、傳田うに

 

 

東京公演:2019年10月4日(金)〜20日(日) 東京国立劇場 中劇場

鳥栖公演:2019年10月26日(土)~27日(日) 鳥栖市民文化会館 大ホール

大阪公演:2019年10月29日(火)~30日(水) 森ノ宮ピロティホール

名古屋公演:2019年11月1日(金)~4日(月・祝) 御園座

広島公演:2019年11月7日(木)~8日(金) JMSアステールプラザ大ホール

仙台公演:2019年11月16日(土)~17日(日) 多賀城市民会館 大ホール

 

 

観劇日:2019年10月14日(月)13:30公演

 

 

舞台『アジアの女』を観劇した感想(ネタバレあり)

第51回目のレビューは、石原さとみさん主演「アジアの女」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20191006165213j:plain

 

昨年、4年ぶりに舞台へ出演し大きな話題となった石原さとみさんですが、今年も主演舞台をされるということで、非常に注目度の高い作品です。

 

 

※昨年度の主演舞台「密やかな結晶」のレビューは以下に記載しております。ぜひご覧ください!

www.kakimasu-review.com

 

本作の舞台は、大災害によって壊滅状態となったとある町。

その町に兄・晃郎(山内圭哉)と妹・麻希子(石原さとみ)が住み続けていました。

そこに売れない作家・一ノ瀬(吉田鋼太郎)が訪れ、元編集者だった晃郎へ「新しい物語」を書かせろと迫ってきました。

 

緊迫した状況のなかでも平穏だった兄妹の生活が、一ノ瀬の登場によって静かに壊れ始めていくのです。

 

純粋さと狂気さ

 

石原さとみさん演じる麻希子は、かつて精神を病んでいたが、徐々に回復状態に戻ってきていました。

誰も疑うことのない純粋さと、自身の感情をコントロールできず狂気性が垣間見える役柄で、微妙な精神のバランスの中で、一ノ瀬の登場をきっかけに少しずつ変化していきます。

 

石原さんの、人を疑わない目や、自分自身をコントロールできないほどの突発的なエネルギーで感情表現されており、目を奪われました。

 

 

闇を抱えた書けない作家

 

吉田鋼太郎さんの出演されている舞台を初めて観劇したのですが、鋼太郎さんの舞台上でのパワーに圧巻されました。

 

他のキャラクターを巻き込むパワーも、闇を抱え込んだ繊細な表現も、全部が素晴らしかったです。

 

【公演情報】

 

 

『アジアの女』

 

作:長塚圭史
演出:吉田鋼太郎

 

出演:石原さとみ山内圭哉矢本悠馬、水口早香、吉田鋼太郎

 

2019年9月6日(金)~9月29日(日)  Bunkamuraシアターコクーン

 

 

観劇日:2019年9月23日(月・祝) 13:00公演

 

 

 

 

 

 

舞台『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』を観劇した感想(ネタバレあり)


第50回目のレビューは、「ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20190820222035p:plain

 

 

とある村のある家族と、その親友家族の物語。

 

 

亡くなった息子の亡霊が突如目の前に現れたら・・・。

 

ぞっとするシーンも随所にちりばめられたヒューマンサスペンス作品でした。

 

主演のテレンス・エイブリーを務めるのは岡田将生さん。

 

今年は4月に自身初のシェイクスピア作品「ハムレット」にも主演され、近年は精力的に舞台に出演されております。

(以下にレビューを記載しております。ぜひご覧ください!)

www.kakimasu-review.com

 

岡田将生演じる22歳のテレンスには親友エドガーがおりました。しかし10年前、エドガーはブラッケン・ムーアという荒野の廃虚に落ち、不慮の事故で12歳という若さでこの世を去っていたのです。

 

以前は家族同士で仲良くしていたのだが、エドガー亡き後、疎遠になっていた両家。

 

エドガーの母、エリザベスは息子の事故以来、家にこもって塞ぎがちになっており、彼女を元気付けるためにテレンス一家は久しぶりにエドガー家を訪れたのです。

 

10年ぶりに訪れた親友の家に1週間ほど滞在することにしたテレンス一家。

 

彼はエドガーの部屋を借りることにしたのですが、彼は毎晩何かにうなされるようになりました。 

 

そしてある晩、テレンスが突然、皆の前でこう話しはじめたのです。

 

「ブラッケン・ムーアに連れていって。そこで何があったか話してあげる。」

 

なんと、テレンスにエドガーの亡霊が憑依し、母のエリザベスや父に対して話しかけてきたのです。

 

12歳のエドガーが憑依したテレンスはブラッケン・ムーアに行き、残された家族に当時の真実を伝えはじめました・・・。

 

基本的にあらすじも何も知らないまま観劇するので、本作に関してストーリーに驚かされました。

 

 

岡田将生と12歳の亡霊

 

 

岡田さんに亡霊が憑依するシーンが何ともリアルで、テレンスの人格とエドガーの人格が一つの体に入り込んでいるという描写が生々しく舞台上で表現されており、岡田さんの演技力が光るシーンでした。

 

 

12歳のエドガーを、まだ幼さのある喋り方で岡田さんが演じ、見事に二人の人間を演じ分けておりました。

 

エドガーを演じている岡田さんの、体の動かし方や話し方が純粋な少年のようで、何とも可愛らしかったです。

 

一方で、ブラッケン・ムーアでの出来事を話すシーンでは、床を這う・泣き叫ぶなどの痛々しい描写が続き、身を削って演じているエドガーの最期は、観ていて心が締め付けられました。

 

 

エドガーの母エリザベスを演じていたのは木村多江さん。

 

息子を亡くした辛さから心を閉ざしてしまった難しい役どころでした。

 

テレンスにエドガーの亡霊が憑依してから、自分の息子と話せるかもしれないという希望と、本当の息子はおらず、テレンスに憑依しただけの亡霊であるという絶望、ふたつの感情をオーバーではない繊細な演技で演じられており、息子を亡くした母親というキャラクターに説得力を持たせていました。

 

 

最後にエドガーはテレンスの体を借り、両親に当時の思い・今の思いを伝えます。

 

その後、亡霊は消え、いつも通りの朝を迎えました。

 

テレンス一家が帰る日、テレンスはエドガーの両親に対し、衝撃の事実を口にします。

 

その事実によって今までの伏線が回収され、物語が今までとは全く別の色を帯びていくのです。

 

予想もしていなかった展開に、物語の行く末に固唾を飲みました。

 

そしてあの恐ろしい終わり方。ぞっとする終わり方でした・・・(笑)

 

 

近年、難しい作品に果敢に挑戦されている岡田さんの、舞台俳優としての実力が着実にあがっていると確信した作品となりました。

 

また、後半になるにつれて非常に面白い作品で、目が離せないストーリー展開でした。

 

 

【公演情報】

 

『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』

 

作:アレクシ・ケイ・キャンベル

 

演出:上村聡史

 

出演:岡田将生木村多江峯村リエ相島一之、立川三貴、前田亜季、益岡 徹、大西統眞、宏田 力

 

公演日程:

東京プレビュー公演:2019年8月2日(金)~4日(日) シアター1010

長野公演:2019年8月6日(火) 長野県県民文化会館 ホクト文化ホール 大ホール

愛知公演:2019年8月8日(木)・9日(金) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

静岡公演:2019年8月11日(日) 静岡市清水文化会館 マリナート

東京公演:2019年8月14日(水)~27日(火) シアタークリエ

大阪公演:2019年8月30日(金)~9月1日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

 

 

観劇日:2019年8月17日(土)18:00公演

 

 

 

 

舞台『二度目の夏』を観劇した感想(ネタバレあり)


第49回目のレビューは、下北沢・本多劇場にて上演中の『二度目の夏』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20190820220933j:plain

 

 

多くを話せば話すほど、自分の気持ちが伝わるわけではない。

 

 

話すほどに気持ちがすれ違い、元には戻れないほど心の距離が離れてしまうこともある。

 

愛情や嫉妬で感情がねじれることで、物語は思わぬ方向に進んでいきました。

 

社長夫婦とその友人、社長秘書、そしてお屋敷に使える家政婦。

 

それぞれの身に起こる些細な出来事が、少しずつ不協和音となって感情のもつれを生み出していくのです。

 

 

東出さんは会社の社長。裕福な家庭に育って、何不自由なく生きてきた余裕を見せながらも、仲野大賀演じる友人に対して、わずかな嫉妬心を募らせていきます。

 

仲野大賀さんは東出さんの友人を演じ、社長業で忙しい東出さんの頼みを聞き、奥さんの相手をすることに。友人の助けになってあげようとする心優しい大学生を純粋に演じられておりました。

 

社長の自宅家政婦として仕えているのが片桐はいりさん。

 

社長が出張中に起きたい家での出来事や、奥さんと大学生との関係性を神経質なまでに心配し、不穏な空気をもたらします。片桐さんのセリフかアドリブか分からないような台詞も度々登場し、観客の笑い声が会場に響いておりました。

 

 

くすっと笑ってしまうような掛け合いもありながら、物語は後半になるにつれて、緊張感あるシーンへ。

 

徐々に人間関係の均衡が崩れていきます。

 

自分自身を守るため、大切な相手を傷つけてしまう。人間の心は思ってるより弱いのです。

 

物語は予測していなかった結末を迎えます。仲野大賀さん演じる大学生は、ある行動を起こします。

 

私の妹も大学生で、彼女も本作を観劇し「彼は大学生だから、彼なりの結論を出したんじゃないか。」と言っていました。確かに・・・、そうかも、と少し納得。

 

俳優さんの演技力が光る、会話重視の作品でしたが、“言葉という道具の重要性を改めて考えさせられる作品でした。

 

 

【公演情報】

 

M&Oplaysプロデュース『二度目の夏』

 

作・演出:岩松了

 

出演: 東出昌大、仲野大賀、水上京香、清水葉月、菅原永二岩松了片桐はいり 

 

東京公演:2019年7月20日(土)~8月12日(月・祝) 本多劇場

福岡公演:2019年8月17日(土)・18日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

広島公演:2019年8月20日(火) JMSアステールプラザ 大ホール

静岡公演:2019年8月22日(木) 静岡市民文化会館 中ホール

大阪公演:2019年8月24日(土)・25日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

名古屋公演:2019年8月27日(火)・28日(水) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール

神奈川公演:2019年9月1日(日) 湘南台文化センター市民シアター

 

 

観劇日:2019年8月4日(日)13:00公演