『書きます!#観劇レビュー』

20代の管理人が鑑賞した舞台のレビューを書き残していきます!

ナイロン100℃『イモンドの勝負』を観劇した感想(ネタバレあり)

第76回目のレビューは、ナイロン100℃「イモンドの勝負」です。

 

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劇団ナイロン100℃、3年ぶりの新作ということで情報解禁時から楽しみにしていた作品です。


公演情報に関する記事で本作は「ナンセンス・コメディー」と紹介されていて、ナンセンスってどんな意味だっけ?と辞書で引いてみました。

 


ナンセンス : 意味のないこと。ばかげたこと。つまらないこと。


そうか。なるほど。確かに、間違いなく、この舞台はナンセンスでした。

そして、とにかくお洒落。


ナンセンスでお洒落な世界に、溺れてきました。

 


ナンセンス×ブラックコメディ

 


ケラさんの書く台詞には毒があります。
でも、それがケラさんの世界で、私の大好きな世界です。

 

ここ1年はケラさんの作品を観劇できておらず、一番新しいのが「キネマと恋人」です。この作品は私が今まで観劇したなかで一番大好きな作品です(DVD出てるの本当にありがたい・・)

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「キネマと恋人」はラスト、それまでの展開と打って変わって苦い終わり方なのですが、今回の「イモンドの勝負」もただ面白いだけではないだろうと思っていたので、期待を裏切らない作品でした。


今回は「孤児」「首吊り」など、ブラックコメディ的テーマを盛り込んでいるにも関わらず、ダークさを感じさせないというところが逆に怖いんですよね。


重たい素材を扱いながら軽々とストーリーが進んでいくのは、とにかく芸達者な役者さんと演出に全く無駄がないから。

 

無駄がなく流れるように展開する場面の数々には感動させられっぱなしなのですが、ステージ全体にプロジェクションマッピングで映像を投影し、映像とリンクさせながらの役者紹介は、劇場で観た者にしか味わえない高揚感を感じます。

 

プロジェクションマッピングを使用した舞台は最近かなり多いですが、ケラさん演出の作品は群を抜いて迫力があります。


役者さんとの連動性もかなり高く、視覚的にとても楽しいです。
その分役者さんは大変なんだろうな・・とも思いますが、観客は最高にワクワクしています。

 


大好きな役者の皆さん

 


ナイロン100℃といえば大倉孝二さんというイメージで、大好きな役者さんの一人なのですが、圧倒的に演技が上手い。というか演技でした・・・?


演技に見えないんです。自然体過ぎるんです。


間違いなく演技なんでしょうけれど、リアリティに溢れすぎてて恐ろしいです。

哀愁ただよう佇まいをされている時点で優勝じゃないですか。コメディものとの相性が良すぎますね。

本作は大倉さん演じるスズキタモツのヘンテコな人生を軸としてストーリーが展開されていきますが、大倉さんのドキュメンタリーを見ているみたいな感覚でした。

振り回される役うますぎランキングダントツで1位です。

 

以前観劇した舞台「美しく青く」にも出演されていて、こちらではどこにでもいそうな"THE普通の人"を演じられていたのですが、それもまたリアルすぎて存在感に説得力があったのを覚えています。

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今回、客演として本作に出演された山内圭哉さん。

山内さんも大好きな役者さんの一人です。
本作が情報解禁されたとき、「山内さんがナイロン100℃の新作に!?絶対行く!」と一瞬で決心しました。
台詞の言い方が独特で、センスの塊だと思います。山内さんにしか表現できない世界があります。

 

そしてもう一人、池谷のぶえさん。

ポンコツな台詞がとても似合いますよね・・・本心から言っているような雰囲気を常にまとっていて、クスッとしてしまいます。存在感もすさまじく、本作での様々なキャラクターすべてが愛しかったです。

 


本作に出演されている役者のみなさんをドラマや映画でもお目にする機会が多いですが、やっぱり卓越した力を感じるためには劇場で直接パワーーを浴びなきゃ!と思います。

 


ばかばかしくてなんぼ

 


演劇はナンセンスであればあるほど最高だと思っています。


辻褄が合わなくても、時間軸がずれていても、意味が分からなくても演劇は成立してしまうんです。


今から8年前くらい、私がまだ10代だったときに蜷川幸雄さんが演出の舞台作品を観劇したとき、全く理解できないシーンが一つだけあったんです。
どういう意味なのか気になって、帰りにパンフレットを買って読んでみたら、蜷川さんがそのシーンについて「伝えたいことは何もない」と書かれていたんです。

 

「伝えたいことはない」!!!!!!????

 

この言葉のおかげで、演劇に対する見方が変わりました。
すべてのシーンに理由があるわけではないんだなと。でもそれでいいんだと。

 

この言葉をきっかけに、わけのわからない作品、大好きになりました。

とんでもないものを観て、自分にはない才能を浴びたとき、細胞が喜ぶんですよね。「わたし、生きてる~!!!!」


なぜか生命力がみなぎります。なぜだ・・・・。

 


舞台を観た帰り、普段はバスで酔うことなんてないのに、下北沢から三軒茶屋に向かうバスの中で胃がむかむかしてきて、確実に、体がこの作品から何らかの影響を受けていたのだと思います。
この酔いまでもナンセンス。私は一体なにを観ていたんだ。

 

ゆめ?

 

混沌とした気持ちをそのまま抱えて、清々しさとは程遠い感覚を引きずりながら、劇場を後にするのも洒落てるな~などとわけのわからないことを考えながら家に帰りました。

 

また、ケラさんの描く世界を観に行きたいと思います。

 


【公演情報】

 

ナイロン100℃ 47th SESSION「イモンドの勝負」


作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

 

出演:大倉孝二 /みのすけ、犬山イヌコ、三宅弘城、峯村リエ、松永玲子、長田奈麻、廣川三憲、喜安浩平、吉増裕士、猪俣三四郎 /赤堀雅秋、山内圭哉、池谷のぶえ

 

日程:

東京公演 2021年11月20日(土)~12月12日(日) 本多劇場

兵庫公演 2021年12月18日(土)~12月19日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

広島公演 2021年12月21日(火) JMSアステールプラザ 大ホール

北九州公演 2021年12月25日(土)~12月26日(火) 北九州芸術劇場 中劇場

 


観劇日:2021年11月24日(水)18:00公演

 

 

舞台『「葵上」「弱法師」』を観劇した感想(ネタバレあり)

第75回目のレビューは、舞台「葵上」「弱法師」です。

 

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作家、三島由紀夫の代表作「近代能楽集」から2作品を上演するという本作。

舞台が始まり、第一声を聞くや否や、三島由紀夫の描く文学の世界へ一気に引き込まれてしまいました。

 

「近代能楽集」というのは、能の物語を現代化した作品なのですね。なにも知らないまま観劇してしまったので、もっと本作への理解を深めるためには原作を読んでおくべきだったと今更ながら後悔しています・・・。

 

 

能の世界観を生かした演出と現代的演出

 

ステージ上にあるのは、最低限の小道具と真っ白な背景。また、その背景を囲むように額縁のような枠があり、枠は薄く光っています。

 

ステージを枠で囲む演出はたまに見かけますが、文学的作品によく用いられる印象があります。まるでその枠のなかで上演されている小説を観ている(聞いている)かのような錯覚になり、客席とは一線を隔てているような、作られた世界観を切り取って観ているような印象を受けます。

 

能も、舞台装置などない空間で繰り広げられますが、限りなく能に近い状況で上演しているのだなと感じました。

一方で、プロジェクションマッピングで白い背景に映像を投影し、登場人物が見ている世界を観客に共有するという、最新の映像技術も取り入れていて面白い演出だと思いました。

 

 

「葵上(あおいのうえ)」

 

 

こちらは恋愛の絡む、人間のどろどろした部分が見えてくる作品でした。

女の深い嫉妬や、そこから展開されるホラー的なラスト。見終わったあとの後味はかなり苦めでした。

文学作品を演劇的に表現すると、動きは多くなくとも言葉で表現するシーンがかなり多いと感じますが、たばこを吸う・抱きつくなど、大人で艶めかしいシーンも効果的に取り入れ、登場人物の心情が変化していくさまを演劇的に表現していました。

 

 

「弱法師(よろぼし)」

 

こちらは先ほどの「葵上」とはガラッと変わる、主演の神宮寺さんの演技力に驚かされました。

目の見えない二十歳の男"俊徳"が、育ての親と生みの親たちの前で大人たちに復讐を仕掛けていくという展開です。徐々に明らかになる俊徳の狂気性を演じる難しさは、考えただけで絶対にしんどいんですが、それを演じ切る神宮寺さんの演技力はすさまじいものがありました。

二十歳という若さから来る無鉄砲さ、凶暴さ、そして、親たちを傷つけているようで自身も傷つけているような痛々しさが俊徳から伝わってきて、見ているこっちも目を背けたくなるシーンが繰り広げられていきました。

 

「葵上」では仕事のできる大人な男性を演じ、「弱法師」では狂気性のある若い男性という全く違うキャラクターを演じ分ける神宮寺さんの演技力に驚きましたし、今後さらに舞台で様々な役柄を演じてほしいと思いました。

 

今後の舞台での活躍に期待したいと思います。

 

 

【公演情報】

 

『葵上』『弱法師』―「近代能楽集」より―

 

作:三島由紀夫


演出:宮田慶子

 

出演:神宮寺勇太(King & Prince)、中山美穂
   篠塚 勝、木村靖司、加藤 忍、渋谷はるか、佐藤みゆき、金井菜々

 

日程:

東京公演:2021年11月8日(月)~28日(日) 東京グローブ座

大阪公演:2021年12月1日(水)~5日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

 

観劇日:2021年11月22日(月)18:00公演

 

 

プリエールプロデュース『葉隠れ旅館物語』を観劇した感想(ネタバレあり)

第74回目のレビューは、プリエールプロデュース『葉隠れ旅館物語』です。

 

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俳優として活躍している福士誠治さんが今回は演出に専念して手掛けられた本作。

福士さんが演出業もされていることを今回初めて知ったのですが、実際に観劇しましたら、脚本もさることながら演出も非常に面白く心躍りました。

 

 

人情×忍者のドタバタコメディー

 

おんぼろ旅館の立て直しを考えながらもどうもうだつが上がらない兄弟が、実は忍者の末裔、という設定がもう今まで見たことなくて最高でした。

 

”忍者”ものとコメディーて相性いいんだな、と思いましたし、兄弟を演じた駿河太郎さんと渡辺裕太さんのキャラクターがどちらも愛らしくて掛け合いを見ているだけで気づいたら口角が上がっているという不思議。ニヤニヤしすぎてたので、マスクをしていてよかったです。

 

旅館にある日、久しぶりのお客さんが訪れます。若い女性が一人で長期宿泊をするということで、恋愛から疎遠だった兄弟(そしてその祖父&兄弟の幼馴染含め)は大盛り上がり!しかし、実はこの女性はある問題を抱えてて・・・。ここから叫んで走っての大騒動が展開されていきます。

 

久々に声を出して劇場で笑いました。

登場人物も7人という少数なので、キャラクター同士の濃い絡みを堪能できますし、全員が芸達者な役者さんだったので、コメディー部分もシリアス部分も役者さんの素材をフルで楽しめる良い作品でした。

 

若い女性の不思議

 

忍者の末裔である兄弟は忍術もしっかり使えるのですが、実は使える状況が限られていて・・・。物語の後半、兄弟は忍術を使って若い女性を助けることにします。

 

大騒動の原因となる若い女性を演じるのは岡本玲さん。

 

とにかくびっくりしました、この女性。普段は清楚で可愛らしいのですが、お腹をすかせると人格が変わって大暴れするというとんでもない設定で、旅館の中を大暴れ&その期間の記憶なしというやっかいさ。

なにせ暴れている記憶がないものだから、旅館の皆が女性に対して「お腹を空かせる前に何か食べてください!!」と言っても「・・・え?なんでですか?」みたいな掛け合いが何度もあって、その都度笑っちゃいました。

 

岡本玲さんのほぼ一人二役は素晴らしかったですし、最初暴れ出したときは同一人物感なかったです。

 

そんな女性の暴挙に対して順応していく旅館の皆を見て、慣れって怖いよなぁって人間の不思議にしみじみしてしまったのですが、女性が暴れ出すという展開は、平穏な日常に突然訪れるハプニングとしてはかなりパンチがありました。

 

 

個性爆発なキャラクターたち

 

 

兄弟には一緒に旅館を切り盛りしている祖父がいて、その祖父を演じているのが渡辺哲さん。哲さんは毎クール何かしらのドラマには出ているのでは?というほどの名バイプレイヤーという印象です。

今年の春にメ~テレで放送されていた「ワンモア」という作品で演じられていた、定時制に通うおじいさんがとても印象的でした。(地方局制作なんだけどめちゃくちゃいいドラマだったのでぜひ見てほしい)

 

いつか哲さんの出演されている舞台を観に行きたい!と思っていたので念願かなって本当に嬉しかったです。福士さんの演出作品にはほぼ出演されているそうです。

 

今回の役柄は、いくつになっても女性大好き!なチャーミングなおじいちゃん。

ひとつひとつのリアクションが全部可愛らしくて、哲さん見ている私は終始ニヤニヤしていました。

 

物語の中盤に登場する、増子倭文江さん演じる若い女性の叔母に惚れてからの浮足立った一挙手一投足がほんとにチャーミングで、このチャーミングさは哲さんにしか出せないと思います。本当に大好きな役者さんです。

 

兄弟の幼馴染で定期的にうさんくさい商売を持ちかけてくる男は村上航さん。

ぶっ飛んだキャラクターで、振り切れるだけ振り切れていて見ていて気持ちよかったですし、物語いい感じにかき乱してくれて良いスパイスになっていました。

 

深澤大河さんは若い女性のいとこを演じられており、アクロバット担当でもあるみたいで、様々なアクロバットを劇中で披露されておりました。

また、ツッコミも担っていて、後半のどんちゃん騒ぎを鎮める大事な役どころでした。

 

若い女性の叔母を演じられていた増子倭文江さん、大好きになりました!

クセのあるキャラで虜になりましたし、後半、忍術をかけられたことで本音をペラペラと話してしまうのですが、その本音を話している時と本音がばれて慌てている時の二重人格ぶりがあまりにも面白おかしくて、本作の中でも大好きなシーンです。

 

そして兄弟を演じている駿河太郎さんと渡辺裕太さん。

みんなの実家の近くに住んでいそうな、どこか現実味のある風貌に愛着が湧いてきますし、ちゃらんぽらんな兄と真逆な性格の弟、という構図がまたほんわかしていてくすっとしてしまうんですよね。

 

駿河太郎さんが演技派であるというのはドラマや映画で拝見していたので知っていたのですが、渡辺裕太さん、こんなに演技お上手なんですね。

NewsEvery.の中継先の人(コメントがとても上手)というイメージしかなく恐縮だったのですが、少し頼りない感じ、かつクセのある兄や祖父に振り回される弟がとてもぴったりでした。

 

 

忍術を使うときがきた!

 

後半、それぞれの思惑が錯綜していくなかでなぜか?忍術を使ってバトルを繰り広げることとなるのですが、アップデートされた現代的忍術の数々で笑ってしまいました。忍術ってここまで進化しているのかと。もはや魔法レベルだなぁと。SF要素も感じてしまい、忍術を表現する演出の数々がとても面白かったです!

 

 

舞台を観終わったあと幸福感でいっぱいで、沢山の人達と時間や空間を一緒にしながら同じものを見て笑う、という感覚がやっぱり大好きで、この感覚を得るためにはやっぱり劇場で演劇を見るに限る!と思わずにはいられませんでした。

 

 

【公演情報】

 

プリエールプロデュース「葉隠れ旅館物語」

 

作:竹田 新

 

演出:福士誠治

 

出演:駿河太郎、岡本 玲、渡辺裕太、増子倭文江(青年座)、村上 航(猫のホテル)、深澤大河、渡辺 哲

 

公演日程:2021年11月10日(水)~11月17日(水) あうるすぽっと

 

観劇日:2021年11月13日(土)14:00公演

 

 

ブロードウェイミュージカル『ニュージーズ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第73回目のレビューは、ブロードウェイミュージカル「ニュージーズ」です。

 

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2020年公演が新型コロナウイルスの影響で中止となったものの2021年の今年上演が決定し、ようやく待望の日本初上演となりました。

 

本作は1992年公開の映画「ニュージーズ」を基に製作されたディスニーミュージカルで、数々の大ヒットディズニー楽曲を作曲しているレジェンド、アラン・メンケンが本作の作曲をつとめています。

 

ディズニーファンとしては、随所にディズニーらしさは散りばめられたストーリーや展開、ミュージカル楽曲の数々に興奮しっぱなしの2時間半。スキップしながら家に帰ることになりました。

 

 

エネルギッシュなステージ

 

新聞販売で日銭を稼ぎ暮らしている少年ジャック(京本大我)と仲間たちは、突然知らされた不当な新聞卸値の値上げに腹を立て、仲間とともに一致団結しストライキの決行を決意する、というシーンから始まります。

 

数十人の少年たちのダンスと歌から伝わる、新聞販売の少年たちの溢れるエネルギーや若さがキラキラと眩しくて、自分の青春と重ね合わせてしまうほど。

 

幕が上がってまだそこまで時間が経っていないにも関わらず、後先考えず大きな敵に立ち向かう彼らに勇気づけられ、また、毎日必死で生きている彼らを心の底から応援していました。

 

ストーリー自体かなりボリュームがあるため場面転換も多いのですが、転換さえシーンの一つに組み込んで、止まることなくステージ上で魅せていく凄さ。

シーンの一つ一つがとにかくパワフルで、キャラクターたちの熱量に圧倒されます。

 

 

主人公のジャックを演じているのはSixTONESの京本大我さん。

 

過去にもミュージカルを経験されておりますし、とにかく歌がうまい。

ミュージカルにぴったりの歌声です。言葉も聞き取りやすく、心情がスッと胸の中に入ってきました。アラジンのような、少しお調子者で悪さもして怒られるけど、優しくて皆から愛されるという、ディズニーらしい主人公を快活に演じられていました。

 

ディズニーらしいシーンの数々

 

ディスニー作品のどこかで一度は観たことあるような“ディスニーらしさ”全開のシーンが楽曲とともに披露され、わくわくが止まりません!

 

新聞販売少年たち、通称ニュージーズたちの溜まり場になっている居酒屋でのシーンは、美女と野獣やラプンツェルで観たことあるような。

ジャックと恋仲になっていく女性記者キャサリンとのデュエットシーンは、アラジンを彷彿とさせ、さらにアラン・メンケン作曲の楽曲がディスニーの世界一色に染め上げていきます。

 

ミュージカルとしてのディスニー作品を観たことがなかったので、かなり新鮮な感覚になったと同時に衝撃を受けました。

 

 

キャラクターたちの心情を描くソロパート

 

主人公ジャック、キャサリン、そしてジャックの親友であるクラッチーなど、中心キャラクターにはそれぞれソロパートがあり、彼らの心情がメロディーに乗せて歌い上げられるシーンはどれも圧巻でした。

 

キャサリン役を演じたのは咲妃みゆさん。宝塚出身であることを後で知り、歌とダンスの上手さに納得したのですが、とにかくソロパートの歌唱が素晴らしかったです。強い女性としての覚悟と天真爛漫さを混ぜてセリフとして歌い上げる技量の高さに、魅了されてしまいました。誰がどう見てもTHEヒロイン!というキャラクター。

可愛らしくて大好きなキャラクターです。

 

ジャックの親友クラッチーを演じたのは松岡広大さん。片足が不自由という難しい役柄ですが松葉杖を持ちながらのダンスに違和感がなく、また愛嬌のあるキャラクターのなかにも闇を感じるシーンがあり、特にソロパートのシーンは印象的でした。負けてしまったという悔しさや、圧力には決して屈しないという揺れ動く気持ちを表現して歌い上げとても器用な役者さんだなぁと思いました。

 

そのほか、ジャック達とともにストライキを計画する少年デイヴィを加藤清史郎さん。演技力はもちろんですが、こんなに歌が上手いとは思いませんでした。今後ミュージカルに引っ張りだこなのは間違いないです。赤い髪のキャラクターなのですが、赤のヘアカラーがまたおしゃれ!似合ってました!

 

ニュージーズの最大の敵である、卸値の値上げを敢行した出版社のトップ、ピュリツァーを演じたのは松平健さん。

立場としてはジャック達の敵という感じなのですが、憎みたくとも憎めない松平さん自身の愛らしさが滲み出ていて、悪いけど愛らしい、そんな存在感のあるキャラクターでした。

 

 

この興奮は劇場に行かないと味わえませんし、最初から最後まで目の前のステージに心奪われる感覚は最高に楽しいです。

青春×ミュージカルがとにかく最高!この事実は不変!

そして、ブロードウェイミュージカルは間違いなく面白いことを再認識し、コロナが収束したら本場ブロードウェイでミュージカルを観てやるんだ!という気持ちに火が付きました。

 

 

【公演情報】

 

ブロードウェイミュージカル『ニュージーズ』

 

作曲:アラン・メンケン

作詞:ジャック・フェルドマン

脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン

演出・日本語訳・訳詞:小池修一郎

 

出演:京本大我(SixTONES) / 咲妃みゆ、松岡広大、加藤清史郎 / 霧矢大夢、松平健 / 増澤ノゾム、桜一花、石川新太、松澤重雄 / 平野亙、瀬野和紀、田村雄一、鮫島拓馬、栗山絵美、遠山さやか、新井智貴、大井新生、鯨井未呼斗、酒井航、清水錬、白石拓也、扇国遼、高橋慈生、田中隆雅、中桐聖弥、新原泰佑、畑中竜也、廣瀬喜一、廣瀬孝輔、廣田佳樹、本田大河、松平和希、吉田倭大、米澤賢人、脇卓史、渡辺崇人 / 生出真太郎、西田理人、ポピエルマレック健太朗

 

東京公演:2021年10月9日(土)~30日(土) 日生劇場

大阪公演:2021年11月11日(木)~17日(水) 梅田芸術劇場 メインホール

 

観劇日:2021年10月26日(火)18:00公演

 

 

 

小劇団シリーズ⑦ S×SS企画『TWO-handers』を観劇した感想

小劇団シリーズとして書いておりますが、劇団ではないのかもしれません。

S×SS企画『TWO-handers』という面白い企画を観劇してきました。

 

居酒屋のスペースを一部貸し切って上演するという本作。

普通の居酒屋に入ると小さな宴会場のようなスペースに案内されたのですが、ここがステージになるとは想像もできませんでした。ただ、いざ上演されるとステージと客席に変わったのが驚きでした。

 

客席も20席ほどしかなく、小さな部屋だからこそ演者も観客も同じ空間を共有しているという意識を強く感じました。

 

10~15分ほどの短編作品を3本上演するというのも新鮮で、それぞれ登場人物が2人のため個人的に非常に見やすく、また、それぞれが全く別ジャンルのストーリーなので、3度おいしい気持ちになった感覚でした。

 

そもそもあの距離感で役者の演技を観る機会も少なく、いろいろと初めて尽くしな観劇体験となりました。

 

短編作品はどれも人間模様が素敵でした。

 

 

【公演情報】

 

S×SS企画『TWO-handers』

 

企画:S×SS

作・構成・演出:田中精

制作:渡井瑠那

票券:森紀代香

制作助手:山本柚香

主催・製作:ジェイズプロデュース

 

出演者:田中精、師富永奈、志垣燈、上玉利澄斗、山本柚香、渡井瑠那

 

ゲスト:椎名亜音(劇団6番シード)、中川ミコ(遅咲会)、沢田美佳(流星レトリック/ココジャパン)、藤吉みわ(劇団ズッキュン娘)

 

日程:2021年10月7日(木)・14日(木)・21日(木)・28日(木) 酒洛 高田馬場「スペースSHARA」

 

 

作品紹介:

「Border」

女が、不安に駆られて不意に立ち止まる。

そこに突然現れる男が一人。

「何が見える?」

彼の問いかけは、彼女がなぜそこにやってきて何故止まったのか、という事を明らかにしていく。

「お前が足を止めた事、それこそが境界線なのだ」

次々投げかけられる言葉に、彼女が出した結論とは・・・?

 

「shelter from the rain」

雨の中、歩いている。

この先に待っている事を想像し、意味もなく傘をたたみ、雨宿りをしていると、走り駆け込んでくるもう一人。

「参ったなあ、こんな時に雨が降るなんて聞いてないよ!」

独り言を言いながら、偶然居合わせた二人は少しずつ言葉を交わしていく。

「いまから、好きな人に告白をしに行こうと思っているんです」

雨が、全く逆の未来に向かう二人を、同じ場所に居合わせているのであった。

 

「nineminutes」

妻の七回忌に、かつて妻とよく来ていた店に来た祐二。

そこで一人でお酒を飲んでいる最中にうたた寝をしてしまう。

そこに現れる妻・亜弥。

驚いている祐二に亜弥は、二人結婚をしていた年数一年につき一分の時間を貰えたと伝え、九分間の再開の時間を過ごすことになる。

 

 

観劇日:2021年10月14日(木)20:00公演

 

舞台『フォーティンブラス』を観劇した感想(ネタバレあり)

第71回目のレビューは、戸塚祥太さん主演「フォーティンブラス」です。


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東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンにて上演中の本作は、”舞台俳優”の生きざまを描いた作品。


幾度となく再演を繰り返し、様々な俳優で上演されてきた本作。

今回は主演のフォーティンブラス役に戸塚祥太さん、ハムレット役に内博貴さんを迎え、若々しく情熱に満ち溢れる作品となっておりました。

 

 

ジェットコースターのような作品

 


幕があがるとハムレットが上演されており、私たちはハムレットを観に来た観客となる。しかしそれは劇中劇で、今作の主役はその作品を演じている舞台役者たちです。


シェイクスピア作品には劇中劇が多く登場するイメージで、本作もまた、ハムレットからインスパイアされた作品ということですが、最初から劇中劇が展開されていくストーリーに非常に面白さを感じました。

 

最初に舞台役者たちの演じるハムレットを目にすることで、それぞれの役者の立ち位置を知ることができ、また、二重構造となっていることで役者たちの表と裏の対比が悲しくもおかしく見えてくるのです。


とにかく早い台詞回しにひたすら流れ続ける音楽。舞台は一度も流れを止めることなく進み続け、最後までトップスピードで舞台俳優から溢れ出る熱量を受け止めることになります。

まるでジェットコースターのようなスピード感のある作品でした。

 

 

舞台俳優たちの苦悩

 


理不尽なことの多い世の中ですが、役者の世界もまた理不尽なことの多い世界なのではないでしょうか。キレイなまま夢や希望を持ち続けることは難しく、抗えない現実に戸惑い苦しむ役者たちの姿がそこにはありました。

 


本作の主人公、フォーティンブラスとその役を演じる売れない役者を演じるのはA.B.C-Z戸塚祥太さん。

数多くの舞台に出演し、今年は新橋演舞場で上演された舞台「未来記の番人」でも主演を務められ、今年2作目の主演舞台となります。

 

舞台「未来記の番人」も観劇しており、観劇レポも書いておりますので、ぜひご覧ください。

www.kakimasu-review.com

 

 

戸塚さんは、自分の理想と現実の狭間で腐りかけている役者・羽沢武年と、打倒ハムレットに燃えるフォーティンブラス、似ても似つかぬ2役を演じ分けています。


亡霊やその他の役者などに対して、戸塚さん演じる武年は受け身の芝居が多いのですが、受けと仕掛ける芝居の演じ分けが本当に上手いです。また、本作ではフォーティンブラスと羽沢武年を入れ替えながら演じる場面が多く登場しますが、流れるようにスイッチが切り替わる、というか気づいたら切り替わっている。この技術は圧巻です。

 

武年は、口は達者ですが役者という仕事に対して覚悟がなく、どこか煮え切らない。そんな中でフォーティンブラスの父であるという亡霊に出くわしてしまい、この状況に戸惑いながらもフォーティンブラスとしてハムレットへの復讐を誓ってしまうのです。

役者業に覚悟のなかった武年が、亡霊や他の役者との出会いによって徐々に心動かされ、最後にはすべてを巻き込む舞台の幕があがります。

 

 

それぞれにスポットライトの当たるストーリー

 

 

シェイクスピアハムレット」の主人公はハムレットですが、今作はそれぞれの役者にスポットライトが当てられ、全員が主役となっている作品でした。


過去や権力に縛られ、本音に蓋をする役者たちがそれぞれの現実と向き合うのですが、その悩み苦しむ姿を通して、演劇への情熱を観客は目の当たりにします。そして最後には、その役者を演じている役者そのものから「演じることへの情熱」を感じるという、複雑な構造から生まれる感情がありました。

 


ハムレット役、そして超ワガママ俳優を演じている内博貴さんは、舞台上に立っている姿を見るだけで、その二役を演じることへの説得力がありました。彼の言動がきっかけで様々な俳優たちが悩むこととなるのですが、圧倒的権力者として舞台上に存在し、とにかく存在感がありました。

 

 

舞台俳優を演じるからこその演出

 


劇中劇とその舞台裏を交互に演じることで、観客が本来目にしない役者の舞台裏での動きをあえて見せるという演出は本作の設定だからこそ可能であり、面白い見せ方です。

衣装から稽古着への着替え、また、私服から衣装への着替えをあえて見せることで、二重構造をわかりやすく観客に伝える効果がある演出でした。

 

 


ハムレットという難しい戯曲を題材とした作品ですが、本質は舞台俳優たちの舞台への情熱が劇場いっぱいに溢れる、目に見える熱を帯びていた作品でした。

 

 

【公演情報】


「フォーティンブラス」


作:横内謙介


演出:中屋敷法仁

 

出演者:戸塚祥太A.B.C-Z)/能條愛未矢島舞美/富岡晃一郎、納谷 健、吉田美佳子、新原 武、吉田智則/内 博貴

 

公演日程:2021年8月19日(木)~29日(日) Bunkamura シアターコクーン

 

観劇日:2021年8月24日(火)18:00公演

 

 

舞台『コムサdeマンボ!』を観劇した感想(ネタバレあり)

第70回目のレビューは、舞台『コムサdeマンボ!』です。


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関西を中心に俳優として活躍されているジャニーズの室龍太さんを主役に迎え、テレビ番組の制作会社を舞台に展開する、ワンシチュエーションドタバタコメディ作品でした!

 

 

新喜劇のようなドタバタコメディー

 

 

ステージ上にはバラエティ番組制作会社のワンルームが広がり、番組で使用するのであろう様々な小道具が置かれておりました。

見た目もカラフル、演者の衣装もカラフル、そして何よりも新喜劇さながらのクセのあるキャラクターが次から次へと登場し、絶えず問題が舞い込み大混乱!

 

アドリブもあり、むちゃぶりもありで、その日限りの舞台をキャスト全員で作り上げている感覚がありました。

客席からも笑い声が響き、それに呼応するかのようにステージ上でもまた新たな笑いが生まれ、毎公演同じ台詞のものは上演されないんだろうなという特別感がありました。

 

コメディならではの演出

 

 

コメディ作品ならではの演出が数多く取り入れられておりましたが、その中でもひとつ。ストロボモーションのような、暗闇の中で照明を連続点滅させることで舞台上で役者がコマ送りのように見えるような演出で場面転換しており、場面を切らさず流れるように、かつ、コメディ要素も盛り込みながら転換する手法だと感じました。

 

照明の連続点滅を用いる演出は、長時間見ていると目がパキパキしますし具合も悪くなる方もいらっしゃいますので短時間かつ少ない場面の使用に限りますが、喜劇的要素もありますし、非常に面白い照明演出のひとつだと個人的にも感じています。

 

 

主演である室龍太さんはクセのあるキャラクター達の小さなボケもしっかり処理して、かなり対応力スキルの高い役者さんだなぁと感じました。今後、コメディ以外の舞台作品で別の表情も観れるのではないかと期待しております。

 

 

【公演情報】

 

コムサdeマンボ!』

https://c-mambo.com

 

作: 可児理華

演出:水田伸生 

 

出演者:室龍太/ 田中真琴古謝那伊留川久保拓司/ 石垣佑磨金田哲六角慎司/ 酒井敏也  

 

公演日程:

 

大阪公演:2021年8月5日(木)~8月8日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

 

東京公演:2021年8月11日(水)~8月22日(日) 銀座 博品館劇場

 

京都公演:2021年8月24日(火)・8月25日(水) 京都劇場

 

静岡公演:2021年8月27日(金)静岡市民文化会館 中ホール

 

観劇日:2021年8月15日(日)17:30公演