『書きます!#観劇レビュー』

20代の管理人が鑑賞した舞台のレビューを書き残していきます!

ミュージカル『キンキーブーツ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第41回目のレビューは、渋谷 東急シアターオーブにて上演中の「キンキーブーツ」です!

 

f:id:kanazaaaaaawa:20190508215936j:plain

 

 

三浦春馬さん・小池徹平さんのダブル主演の本作は、廃業寸前の靴屋の跡取りとドラァグクイーンの出会いから、靴工場の経営を立て直す、サクセスストーリーのミュージカルです。

 

本作は、2016年に初演が行われ、チケットは全日即完。連日スタンディングオベーションの大盛況となった作品です!多くの観客に愛されたこの「キンキーブーツ」が今年帰ってくるとあって、情報解禁直後から、非常に注目されておりました。

 

 

キャストは2016年の初演から引き続き続投し、靴屋の跡取り息子であるチャーリーを小池徹平さん、ドラァグクイーンのローラを三浦春馬さんが演じております。

 

また、主演の二人を囲むキャストである、チャーリーの婚約者を玉置成美さん、チャーリーに恋する従業員のローレンをソニンさん、その他、勝矢さん、ひのあらたさんら初演のキャストも全員再集結し、キンキーブーツの世界へ戻ってきました!

 

 

 

チャーリーとローラが帰ってきた!

 

 

小池徹平三浦春馬という2人のキャストでしかチャーリーとローラを演じることができないと感じる程のキャラクターの完成度であり、初演時よりも更にパワーアップして帰ってきてくれた!という喜びで、胸がいっぱいになりました。

 

 

本作は管理者自身思い入れが強い作品で、本サイトの第1回レビューが2016年のキンキーブーツなのです。

 

 

それから3年、相変わらず演劇鑑賞が趣味の私が、改めてキンキーブーツの感想を書くことができると思うと、嬉しさも一入です。

 

 

本作の魅力の一つが、個性あるキャラクター達。

 

靴屋の跡取りとして、廃業寸前の靴屋の経営を任されることになったチャーリーを小池徹平さん。

そして、そんなチャーリーと運命的な出会いをするドラァグクイーンのローラを三浦春馬さんが演じております。

 

三浦春馬さんのローラが本当にパワフルで煌びやかで美しい!

 

観客は全員ローラの虜です。

 

10センチのピンヒール・真っ赤なドレスを身に付けたローラは、自信を全身にまとって踊り歌います。その姿は女性よりも女性であり、伸び伸びと自己を表現している。

 

そんなローラに憧れ、観客は心を奪われる。

 

しかし、ローラはドラァグクイーンとして生きる自分に悩んでいたのです。

 

社会から求められる自分と本当の自分。その違いに悩み、生きることに苦しんでいる。しかし、自分の気持ちを貫き通してありのままの自分を受け入れ、未来への希望を見つけ出す。

そんなローラの姿は、"自分の進む道"に悩むチャーリーの背中を押すだけでなく、私たち観客にも勇気をくれるのです。

 

ローラはほとんど煌びやかな衣装で登場しますが、男性の格好のシーンもあり、

同じキャラクターでも、衣装やシーンによってローラの抱えている感情が異なるため、大胆さのなかにも繊細な表現が必要で、春馬さんは丁寧に演じられていました。

 

パワフルだけど繊細なローラは三浦春馬さんしか演じることができない、そう感じました。キンキーブーツを観てしまったら、彼の持つ才能と魅力に落ちてしまうのではないでしょうか。

 

 

そんなローラと出会うのが、靴屋の跡取り息子チャーリー。

 

父の死をきっかけに靴屋の跡を継ぐことになるのですが、会社は倒産寸前であることを知り、再建に尽力することとなります。

 

その途中で出会ったのがドラァグクイーンのローラ。

 

男性の体重を支えることができるブーツが無いことをローラから知り、チャーリーはドラァグクイーン用のブーツを作ることを閃くのです。

 

チャーリーは他のキャラクターに引っ掻き回される、非常に忙しいキャラクターです。

婚約者、靴工場の従業員たち、そしてローラ。彼らの要求や不満を浴びせられ、チャーリー自身、右へ左へ奔走することになるのです。

 

全体的に小池徹平さんは受け身の演技をしなければならず、非常に難しい役どころだったと思います。それぞれのキャラクターの感情を汲み取り、それに対してチャーリーは行動を起こす。

 

ローラが注目されがちな本作ですが、本当の軸、主役はチャーリーなのではないでしょうか。

 

小柄な小池徹平さんですが、彼の放つ歌声には強くて太い一本の芯が通っていました。

 

チャーリーは自身の生き方に迷うキャラクターですが、小池徹平さん自身は座長としての自信に満ち溢れ、ステージに立っているように見えました。

 

 

 

キャラクターを更に魅力的にする楽曲の数々

 

 

ミュージカルであるキンキーブーツは数多くの楽曲が登場します。

 

キャラクターの感情は楽曲に乗せて観客に届けられ、その魅力的な楽曲の数々はキンキーブーツという作品を語るうえでは外せません。

 

チャーリー、ローラ、そして、ソニン演じるローレン達が秘めた思いを歌うシーンの数々は、生き生きとステージ上に存在しているキャラクター達をさらに輝かせていました。

 

 

最強ミュージカル「キンキーブーツ」 

 

 

本サイト開設から3年、多くの作品を観劇しましたが、やっぱり作品から貰うパワーが大きいのはこの「キンキーブーツ」だと思いました!

 

観劇後、こんなにハッピーになり、スカっとした気持ちになり、心の底から楽しかった!と思える作品はキンキーブーツが一番です。

 

連日スタンディングオベーションが続き、会場が一体となって作品を楽しむ。

こんなに会場全体が幸福感に包まれる作品はそうないと思います。

 

ミュージカルの持つパワーを全身で感じられる作品です。

 

チケットは全日即完ですが、当日券の販売があります。

皆様にぜひ観ていただきたい!と心の底から思う作品です。ぜひキンキーブーツの世界を味わってみてください!

 

 

【公演情報】

 

 

ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」

 

脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー
演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力・上演台本:岸谷五朗
訳詞:森雪乃丞

 

出演者:小池徹平三浦春馬ソニン玉置成実、勝矢、ひのあらた、飯野めぐみ、白木美貴子、施鐘泰JONTE)、穴沢裕介、森雄基、風間由次郎、森川次朗、遠山裕介、浅川文也、佐久間雄生、藤浦功一佐々木誠、高原紳輔、中村百花、丹羽麻由美、舩山智香子、清水隆伍、加藤潤一、岩間甲樹、山口祐輝、若林大空、犾守大空翔、高畑遼大、阿部カノン

 

 

東京公演:2019年4月16日(火)~5月12日(日) 東急シアターオーブ

大阪公演:2019年5月19日(日)~5月28日(火) オリックス劇場

 

 

観劇日:2019年5月5日(日)13:00公演

 

 

羽ばたけ小劇団シリーズ② 劇団スカブラボー「天野博士の憂鬱」を観劇した感想

第40回目のレビューは、劇団スカブラボー第8回公演「天野博士の憂鬱」です。

 

新シリーズ「羽ばたけ小劇団」の第2回目!

下北沢の「劇」小劇場での公演。演劇の聖地である下北沢で、本作は上演されておりました。

 

 

主人公は数々の発明を生み出した天才、天野博士。

彼が発明したパワーエネルギー"Lパワー"が悪用され、地球の半分が溶解してしまった世界。残された人類を守るため、天野博士が見つけた無人惑星に人類を移住させる計画を立てる。

そして、移住計画を実行するために博士と研究員はその惑星に調査に向かう。

惑星を探索すると、なんと!人間に似た生物の姿が!

無人惑星だと思っていた星には、別の生物がいた!!!

無人ではないことが分かり、退散しようとしたのだが、惑星の抱える問題に巻き込まれてしまった博士一行。そして、その問題を解決しようと手を貸すことにしたのだが、惑星の運命を揺るがす大きな事件が・・・!

 

 

展開の早い1時間40分の上演。次から次へとキャラクターが入れ替わり立ち替わり、ストーリーが進んでいきました。

 

驚いたのは、出演者全員が非常に芝居が上手く、キャラクターとしてしっかりと舞台上に存在していたことです。

そして、場面転換が多い中でも、暗転を使わず音響や照明で転換を表現している点が非常に印象に残っていて、作品全体の一体感を感じました。

 

 

 

【公演情報】

 

 

劇団スカブラボー 第8回公演「天野博士の憂鬱」

 

劇団:劇団スカブラボー 

 

出演者:阿部遼哉、内藤慎人、大塚かよ、雁瀬有子、さらら、鈴木拓也(レティクル座)、高槻しおり(偶像ぱんでみっく)、つりはるこ、野木ナツキ、堀内愛海、松下美優(志事務所)、宮本圭介、横内のぞみ

 

日程:2019年4月24日(水)~4月28日(日)

 

会場:「劇」小劇場(下北沢)

 

観劇日:2019年4月26日(金)19:30公演

 

『良い子はみんなご褒美がもらえる』を観劇した感想(ネタバレあり)

第39回目のレビューは、赤坂ACTシアターにて上演中の「良い子はみんなご褒美がもらえる」です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20190425224206j:plain

 

本作は、イギリスの劇作家トム・ストッパードが、俳優とオーケストラの為に書き下ろしたという意欲的な戯曲です。

 

イギリスの劇作家トム・ストッパードの作品は、戯曲の中での言葉遊びが面白く、随所にユーモアを散りばめてあるのが特徴で、代表作に「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」などがあります。

 

 

オーケストラのために書き下ろした作品とあって、普通の演劇のような劇伴として音楽が流れているわけではなく、35人ものオーケストラがステージ上に存在し、劇中に登場するという、何とも斬新な作品です。

 

 

今まで様々な作品を観劇しておりますが、オーケストラと役者の芝居がここまで濃密に絡み合い競演している作品は初で、全く新しい観劇体験となりました。

 

 

2人の「アレクサンドル・イワノフ」

 

 

舞台は、精神病棟の一室。

二人の男が同じ部屋に送り込まれた。

一人は、堤真一演じる政治犯の男(アレクサンドル・イワノフ)、もう一人は橋本良亮演じる、自分はオーケストラを引き連れているという妄想に囚われた男(アレクサンドル・イワノフ)。

奇しくも同じ名前の2人は、社会から追放された身として、強制的に社会適合者へ矯正させられるのです。精神病棟での生活に自由はありません。

 

2人の会話は、妄想と回想が入り交じり混沌と進んでいきます。オーケストラは、オーケストラを引き連れている男の妄想の中で演奏を続けています。観客は、その男の妄想の中のオーケストラを観ているのです。

 

一方で、堤さん演じるアレクサンドル・イワノフにはオーケストラは聞こえません。時折、オーケストラの演奏が止まったり、演奏しているフリをするシーンがあり、政治犯の男には演奏は聞こえていないという描写を表していました。

 

 

政治犯の男を演じるのが、テレビや映画をはじめ舞台出演の続く堤真一さん。

オーケストラを引き連れているという妄想に囚われた男を演じるのが、A.B.C-Zのセンターであり、昨年も赤坂ACTシアターにて上演された舞台「コインロッカーベイビーズ」で主演をされた橋本良亮さん。

 

『コインロッカー・ベイビーズ』を観劇した感想(ネタバレあり) - 『書きます!#観劇レビュー』

 

 

立場も芸歴も大きく異なる2人がW主演として同じステージに立ち、芝居を通して心を通わせていく様は、何とも感慨深い気持ちになりました。

 

橋本さんの繊細かつ大胆な表現力で、彼にしか演じられない狂おしさをまとい妄想に取りつかれた男を演じ、一方で、堤さんは囚われ衰弱しきった中でも決して曲げない意志と覚悟を感じる政治犯を演じてられていました。

 

 

作品中、“動と静”を強く感じる本作。橋本さんが“動”を担えば堤さんは静”となり、またその逆もしかり。それぞれが持ちうる表現力で相手にぶつかっていく。

芝居の<異種格闘技戦>を観ているかのようでした。

 

 

 

堤さん・橋本さんを囲む個性的なキャスト陣

 

 

 

主演である堤さん、橋本さんを支えるのは、小手伸也さんや斉藤由貴さんら数多くの舞台作品に出演されている役者の方々。

 

小手さんは2人の担当医師として、難解なストーリーの中に時にユーモラスな演技を交えながら、作品に緩急をつけてくれました。

 

 

斉藤さんは、堤さん演じるアレクサンドルの息子の家庭教師。

社会からのはみ出し者の存在を否定し、社会に順応していく人間を育てることに情熱を注ぐキャラクター。

 

 

どちらも主演のお二人に比べ台詞は多くないですが、印象に残る濃いキャラクターです。

 

 

イギリス人演出家ウィル・タケットの演出

 

 

 

今作の演出を担当されるのは、英国ロイヤルバレエのダンサー出身にして国際的な振付家・演出家のウィル・タケット氏。

 

精神病棟での2人の不自由な生活を、ダンスを通して表現。規則や価値観に縛られ、自由に生きられない様を、2人を取り巻くアンサンブル(警官)たちと、複雑かつ流れるような動きで表現していました。

 

 

上演時間は1時間15分という、舞台作品の中ではかなり短い上演時間。

 

しかし、体感としては2時間以上あるように感じる程、息つく間もない内容の濃い作品でした。

 

ステージ奥にオーケストラ、手前に無機質な病室を置き、左右には扉と階段。扉や階段は上下の動きや場面転換で使われていましたが、客席からはオーケストラの一番後ろまで全て見渡せるような造りになっており、作品全体に抽象的な印象を与えています。

 

そして、上演中一度も暗転がないため、ストーリーを途切れさせることなく場面が繋がっていき、展開が早く非常に面白い演出でした。

 

 

オーケストラの演奏と並行して芝居が進められている本作。

ミュージカルではない、斬新な音楽劇が日本初上演されています。

5/12まで上演中で当日券も出ておりますので、皆様ぜひ行ってみてください!

 

 

【公演情報】

 

 

舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」

 

作=トム・ストッパード 

作曲=アンドレ・プレヴィン

演出=ウィル・タケット

指揮=ヤニック・パジェ

 

出演=堤真一、橋本良亮(A.B.C-Z)、小手伸也、シム・ウンギョン、外山誠二斉藤由貴、川合ロン、鈴木奈菜、田中美甫、中西彩加、中林舞、松尾望、宮河愛一郎

 

 

東京公演:2019年4月20日(土)~5月7日(火)  TBS赤坂ACTシアター

大阪公演:2019年5月11日(土)~12日(日)  大阪フェスティバルホール 

 

 

観劇日:2019年4月24日(水)19:00公演

2019年5月7日(火) 15:00公演  ※東京千秋楽

  

羽ばたけ小劇団シリーズ① SHOW劇 無=魂「ONION ~いのちあるところ~」を観劇した感想(ネタばれあり)

第38回目のレビューは、小劇団 無=魂 第14回公演「ONION ~いのちあるところ~」です。

 

今回よりスタートした新シリーズ、「羽ばたけ小劇団」の第1回となる本作品ですが、かなりエネルギッシュで展開の読めない、驚きの連続な作品でした。

 

 

主人公はレストランを経営している社長で、お客さんの笑顔のため、赤字覚悟のメニューをどんどん企画する。

レストランは繁盛する一方、次第に利益が出なくなってきていた。店長やシェフが店の状況を説明しても、赤字となるメニューを出すことを止めない。

そのような状況が続き、消費者金融からお金を借りてしまい、銀行からの追加融資も受けられなくなってしまった。

そんな切迫した状況の中、レストランに大型の予約が入った。借金を返せる目途も立って従業員も手を取り喜ぶ。

しかし、喜んだのも束の間、店長は事故にあってしまう。

目を開けると、そこは不思議な空間で・・・。

 

 

という全く展開の読めないストーリーにも関わらず、1時間40分という時間にギュっとまとめ上げたのは驚きでした。

 

タイトルに”SHOW劇”とある通り、SHOWの要素が多く含まれた演劇作品でした。

 

オープニングから演者がダンス!そしてエンディングもダンス!

 

ハッピーエンドからの出演者全員でのダンスシーンは、観劇している側もハッピーになってしまうという、ダンスの持つパワーを感じました。

 

 

本作は、誰にでもあるような人生の分岐点を描き、いくつもの選択肢を提示しつつ、その時最善だと思った方向へ進んだ主人公の、生き様を描いた作品だと感じました。

 

 

この劇団の主宰であり、主人公の社長を演じられていたTERUさん。

声がとても渋くて素敵でした。

 

 

その他、最近スバルのCMにもご出演されている島村みやこさん、

日テレ「ウチのガヤがすみません!」にガヤ芸人として出演中のKいちさん、

昨年の紅白歌合戦にも出演された、香川真司のものまね芸人として活躍中のアモーレ橋本さん、メディアにも出ている俳優さんたちもご出演されており、また、ダンサーとして活動されている方もいたりと、幅広いジャンルの俳優さんがご出演されておりました。

 

 

【公演情報】

 

 

SHOW劇 無=魂 第14回公演「ONION ~いのちあるところ~」

 

劇団:SHOW劇 無=魂

 

出演者:TERU、菊川仁史、Kいち、蝶羽、杏蘭、中島大和、古賀司照、松田かほり、ふじきイェイ!イェイ!、アモーレ橋本、島村みやこ、MASAKI、さわちん

 

日程:2019年3月27日(水)~3月31日(日) 

 

会場:ザムザ阿佐ヶ谷(THEATRE “SAMUSA”)

 

観劇日:2019年3月27日(水)19:00公演

 

サイト名リニューアル & 新シリーズ始動

おひさしぶりです。管理人の葉流です。

 

「若者による若者のための観劇レビュー」ですが、本日より、

 

「書きます!#観劇レビュー」(読み方:書きます! ハッシュタグ観劇レビュー)

 

というサイト名へリニューアルいたします。

 

サイト名リニューアルには理由がありまして、

今までメジャーな演劇作品しか取り上げてこなかった当サイトですが、今回より、小劇団の作品の感想もアップしていきたいと思います!

 

昨年まではテレビに出ているような有名な俳優さんが出ているような、大きな作品ばかり観劇しておりましたが、とあるきっかけで小劇団の演劇も頻繁に観劇するようになり、「メディアに出ていなくても演技の上手な俳優さんは沢山いるなぁ」と感心してばかりの日々です。

 

ということで、そんな小劇団の作品や俳優さんにもスポットライトを当てるべく、今回より、小劇団の作品もアップしていきたいと思います。

 

ということで新シリーズを始動させたいと思います!

 

その名も 「羽ばたけ小劇場シリーズ」

 

 

更新をお楽しみに!

 

 

舞台『チャイメリカ』を観劇した感想(ネタバレあり)

第37回のレビューは、英国社会派戯曲『CHIMERICA  チャイメリカ』です。

 

f:id:kanazaaaaaawa:20190227214452j:plain

 

 

田中圭さん主演、そして日本初上演作品ということで非常に注目されている作品です。

 

本作は、中国の天安門事件を題材に描いたフィクション作品。

 

海外事情も事件のことも全く分からないので、あえて知識を入れないまま観劇したのですが、現代にも通じる普遍的な問題を扱っている作品だと、そう感じました。

 

 

 

二つの国の演出

 

 

 

本作で登場するのはアメリカと中国。

 

この二つの国を場面によって行き来していたため、場面展開がかなり多く、なんと38もの場面で構成されているとのことです。(公式パンフレットより)

 

転換が多い分、ステージの上・下を分け、回転舞台も取り入れることで次の場面へと流れるように繋いている演出が印象的でした。

 

ステージ上には無駄な装飾が一切なく、必要最低限のセットのみが配置してあり、それぞれの場面を表現。

 

無駄な装飾がなく、ステージ上は黒で統一されていることで、ひとつひとつの台詞が舞台上に浮かび上がってくるような雰囲気がありました。

 

 

 

ジョーとヂァン・リン

 

 

 

主人公の記者、ジョー演じるのは田中圭さん。

 

昨年末は舞台「サメと泳ぐ」でも主演を務め、舞台への出演が続いております。

 

ジョーはアメリカ人記者で、天安門事件の写真を撮影したことをきっかけに、1枚の写真に翻弄されることとなります。

 

自分の覚悟を自分自身で裏切らないために、目に見えない事実を追いかけ続けるジョーの記者としての圧倒的な力強さやまっすぐさを田中圭さんが全身で演じておりました。

 

 

 

そして、中国に住むジョーの旧友ヂァン・リン役は満島真之介さん。

 

とにかく、満島さんの迫真の演技に心奪われました。

 

ジョーとヂァン・リンが一緒にいるシーンはほんの数回しかなく、ほとんどが別々のシーンで物語は進みますが、彼らの人生はそれぞれの人生に大きく関わっており、最後にジョーはヂァン・リンに関する衝撃の事実を知ることになります。

 

 

ヂァン・リンは天安門事件に関係するある過去に縛られ、そして過去を引きずり、物語が進むごとに憔悴し、心を閉ざしていってしまうキャラクターです。

 

そんなヂァン・リンを満島真之介さんは丁寧に演じており、この物語はフィクションのはずなのに、私が観ているヂァン・リンは現実でしかない、そう感じてしまうくらい説得力のある演技でした。

 

 

満島真之介さんの出演されている舞台は何度か観劇したことがあり、そして観劇するたびに満島さんの繊細かつ大胆な演技に感動しています。

 

 

 

色の演出

 

 

ステージがほとんど黒で統一されている一方、背景となる壁は液晶画面になっており、

場面に合わせて色が変わっていました。

 

感情を映す鏡のように、赤やグレーに色変わりし、視覚的にも状況描写の補足という役割を果たしておりました。

 

 

非常に難しい作品で、濃密な会話劇という印象でしたが、決して歴史上の問題を題材としているだけの作品ではないと感じました。

 

 

【公演情報】

 

世田谷パブリックシアター×パソナグループ

『CHIMERICA  チャイメリカ

 

 

作:ルーシー・カークウッド

 

演出:栗山民也

 

出演:田中圭満島真之介倉科カナ眞島秀和瀬戸さおり池岡亮介・・・etc

 

 

東京公演:2019年2月6日(水)~2月24日(日)  世田谷パブリックシアター

愛知公演:2019年2月27日(水)~2月28日(木)  東海市芸術劇場

兵庫公演:2019年3月2日(土)~3日(日)  兵庫県立芸術文化センター

宮城公演:2019年3月6日(水)  多賀城市民会館 大ホール

福岡公演:2019年3月10日(日)  福岡市民会館

 

 

観劇日:2019年2月23日(土)18:30公演

 

 

舞台『罪と罰』を観劇した感想(ネタバレあり)

第36回のレビューは、三浦春馬さん主演「罪と罰」です。

 

 

f:id:kanazaaaaaawa:20190209174559j:plain

 

本作はロシアのドフトエフスキーの長編文学を題材とした作品で、舞台の脚本・演出はイギリスの演出家、フィリップ・ブリーンが務めております。

 

 上演時間は3時間超えという、ストレートプレイの中ではかなり長い超大作でしたが、息つく間もない展開がいくつも待ち受けておりました。

 

 

 

三浦春馬の演じるラスコリニコフ

 

 

三浦春馬さん演じるラスコリニコフは、自らを選ばれし者と錯覚し、”正義”のためならと人を殺めてしまう貧乏な青年。

 

自身の中に大きな野望を秘めていて、自己を過大評価してしまうラスコリニコフは、一方で、自らの罪に怯え、良心と野望との狭間で感情が揺れ動くという非常に難しい役どころです。

 

 

 

全編通して、三浦春馬さんの演技力、気迫に圧倒されました。

あまりの迫力に、演じているというより別人格としてそこに存在しているのではないかというような感覚になりました。

 

 

 

 

その空間の中でラスコリニコフは自らの正義を貫き、人を殺める。しかし、自らの過ちにおののき、気絶するシーンが前半は多く描かれておりました。

 

 

気絶するシーンは暗転し、目を覚ますと明転する。

目を覚ます度に別場面へ転換しているのだが、転換が早いため一つの長いシーンを観ているかのように感じました。

 

 

いくつかの蛍光灯が薄暗く光っている舞台上には家具や生活道具が積み重なるように無造作に置かれ、その間を演者がめまぐるしく動いていく。

 

 

全編通して驚いたのは、演者や演奏者は終始ステージからはけることなく、群衆としてステージ上に存在していたことです。

 

 

時には民衆として、時にはキャラクターの感情の起伏を表現する者として、作品の中に存在しており、かなり印象的な演出だと感じました。

 

 

階段状のステージを縦横無尽に演者が動く一方で、チェロやクラリネットの演奏者も同時にステージ上で演奏するという面白い演出もありました。

 

演奏者が衣装を着て、演者と同じようにステージ上にいて、そして演者のすぐそばで演奏するという舞台ならではの生感がありました。

 

 

哲学的で難しい作品ではありましたが、それぞれの人間関係や感情、人と人との心理戦を濃く表現した作品だと感じました。

 

 

【公演情報】

 

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019

罪と罰

 

 

原作:フョードル・ドストエフスキー

 

上演台本・演出:フィリップ・ブリーン

 

出演:三浦春馬大島優子南沢奈央、松田慎也、真那胡敬二、冨岡弘、塩田朋子、粟野史浩、瑞木健太郎、深見由真、奥田一平、山路和弘立石涼子勝村政信麻実れい・・・etc

 

東京公演:2019年1月9日(水)~2月1日(金)Bunkamura シアターコクーン

 

大阪公演:2019年2月9日(土)~2月17日(日)森ノ宮ピロティホール

 

観劇日:2019年1月19日(土)13:00公演