『書きます!#観劇レビュー』

20代の管理人が鑑賞した舞台のレビューを書き残していきます!

羽ばたけ小劇団シリーズ⑤ 遅咲会「偉人ちゃん2020~本能寺が変~」を観劇した感想

第59回目のレビューは、遅咲会第14回 2020年9月公演「偉人ちゃん2020~本能寺が変~」です。

 

新型コロナウイルス感染症のため、3月以降観劇予定だった公演は全て中止、払い戻しの日々でしたが、先月より少しずつですが観劇に行けるようになってきました。

 

その中でも今回は、以前から数回観劇させていただいております「遅咲会」さんの舞台を観劇してきました。

 

前回観劇した際のレビューは以下に掲載しておりますので併せてご覧ください!

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本作は昨年上演された「偉人ちゃん2019」の続編ということで、(実は昨年観劇していたのですが、レビューを書き忘れておりました・・・)昨年上演時のキャラクターはもちろん、今回新たに登場するキャラクターも多数登場し、前回にも増してお祭り騒ぎでパワフルな作品となっておりました!

 

〈あらすじ〉

ここは遅咲会出版編集部。昨年に引き続き今年も、歴史上の偉人を多数収録した人物事典「偉人ちゃん2020」の出版が決定し喜ぶ編集部。しかし、今年からプロジェクトリーダーとなった川上と元々のプロジェクト発起人である安住は内容の方向性で言い争いをしてしまう。

編集部のお局社員である遠藤が身に付けた、「偉人たちと向き合い過ぎて偉人を現世によみがえらせる能力」を使い、偉人たちから"生きた証言"を手に入れようとする川上と、歴史家が築き上げてきた”諸説あり”という文化を崩すべきではない、という安住。

二人のいさかいは、ほかの社員や偉人たち、未来人をも巻き込んで「本能寺の変」をめぐる大騒動へと発展していく-。

 

 

時代も登場人物もコロコロ変わる、終始めまぐるしい作品で、そんな作品を一つにまとめあげる脚本、出演者の皆さん、とにかく凄いです。

 

登場人物が多い分、混乱するかと思ったのですが、それぞれのキャラクターの見せ場もあり、テンポよくストーリーが進んで観やすかったです。

 

 

【公演情報】

 

 

遅咲会第14回公演「偉人ちゃん2020~本能寺が変~」

 

脚本・演出:福井しゅんや(fukui劇)

 

出演:中川ミコ、大柿誠、菊田貴公、太田純平、真僖祐梨、アモーレ橋本、岡崎賢、緒方夏生、華麗るぅ、川竹達也、金純樹、鈴木美玖、波田地綾奈、松本洋一

 

日程:2020年9月21日(月)~9月27日(日)

 

会場:コフレリオ新宿シアター

 

観劇日:2020年9月25日(金)19:30公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』を観劇した感想(ネタバレあり)

第58回目のレビューは、『泣くロミオと怒るジュリエット』です。

 

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ジャニーズWEST桐山照史さん主演で、出演者が全員男性の新感覚"ロミオとジュリエット"です。

 

大阪が舞台ということで、関西弁で繰り広げられるロミオとジュリエットは、登場人物たちに親近感を抱きながらも、日本の社会情勢や人を愛することについて考えさせられる重厚な作品となっておりました。

 

 

全員男性のロミオとジュリエット

 

 

 

本作で女性役を演じられたのは、柄本時生さんと八嶋智人さんのお2人です。

 

柄本時生さんはジュリエットを、八嶋智人さんはジュリエットの義理の姉、ソフィアを演じられていました。

 

ジュリエットは、なんともけなげで可愛いらしく、ソフィアは強い女性!という印象でした。

 

良くないことと分かっていても彼のことが忘れられなかったり、手に負えなくても愛してるからこそそばにいることを選んだり、愛は人を動かす大きな原動力になるのです。

 

また、男性が演じられることで、女性の強さや可愛らしさ、いじらしさなんかがより鮮明に観客に伝わるような気がして、女性という立場から女性そのものを客観的に考えることができました。

 

大胆にアレンジされた「ロミオとジュリエット

 

 

 

シェイクスピアによって生み出された「ロミオとジュリエット」は純愛物語です。

 

大きなストーリー自体は変わらないのですが、彼らを取り巻く環境や社会情勢を全く異なるものにアレンジすることで、複雑なエネルギーに満ち溢れた作品になっておりました。

 

地域対立や紛争、公害など、社会が生み出す弊害に苦しむ人々は正しい判断ができなくなって、混乱を生み出し、やがて人を傷つけあう。

現代にも通ずる社会の混乱を「ロミオとジュリエット」の作品背景にすることで、様々な感情が私たち観客を取り巻くのです。

 

設定が設定なゆえ重くなりがちですが、随所に笑いをちりばめ、シリアスにしすぎないように表現をされていたのが、素晴らしかったです。

 

演出を担当されたのは、鄭 義信さん。近年では石原さとみさん主演「密やかな結晶」も演出されていました。

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こちらも、シリアスな展開の中にも笑いをちりばめ、緩急の付けた演出でとても素晴らしかったです。

 

第1幕の終わり、ロミオは親友を殺された腹いせに、人を殺めてしまいます。

罪の重さと自身の犯してしまった行為に後悔し、感情が整理できず混乱するロミオに雨が降り注いできました。

水を使った演出はそんなに多くの作品で見かけません。ですが、ロミオの混乱や後悔を表現するには効果的かつ、非常に印象的なシーンになったと思いました。

 

また、遺影を持って踊ったり、ロミオとジュリエットが亡くなったあとも八嶋さんや段田安則さんらが笑いを起こして、感傷的に浸るシーンにも関わらず緩急をつけて展開している点が新感覚でした。

 

ラストシーン

 

 

ロミオとジュリエットは、お互いを想うが故に命を絶ちます。

その二人の独白シーンは、心痛みました。

 

ジュリエットは目を覚ました後、横にロミオが毒を飲んで横たわっているのを見つけます。「私の希望が目の前で死んでいるの」

自身の希望が亡くなったことで、生きることの目的を見失い、ナイフで自殺します。

 

ラストシーン、ロミオとジュリエット亡き世界では、紛争が起き、世の中が混乱の渦に飲み込まれていきます。

 

人が人を殺め、泣き声や叫び声が飛び交う中、純白のドレスとタキシードを身にまとったロミオとジュリエットがゆっくりと現れます。

 

その二人が美しすぎるがゆえに、周りで混乱する人々との対比が色濃く出て、圧倒的に"美しい地獄絵図"を観ているかのようでした。

 

もちろん、生きている人々からは見えていませんが、その二人がとても幸せそうで、笑顔で、

生きている人と、亡くなった人、この世の中ではどちらが幸せなんだろうなぁと考えてしまうような終わり方でした。

 

 

もともとロミオとジュリエットの持つ純愛群像劇に新たな解釈が加わり、心打たれる素晴らしい作品でした。

 

 

【作品情報】

 

 

シアターコクーン・オンレパートリー『泣くロミオと怒るジュリエット』

 

作・演出:鄭 義信

 

出演者:桐山照史柄本時生、橋本 淳、元木聖也、高橋 努、岡田義徳、朴 勝哲、みのすけ福田転球八嶋智人段田安則、岩男海史 白石惇也 鈴木幸二 砂原一輝 西村 聡 平岡 亮 ふじおあつや、水谷 悟 、宗綱 弟 ワタナベケイスケ

 

東京公演:2020年2月8日(土)~3月4日(水) Bunkamuraシアターコクーン

大阪公演:2020年3月8日(日)~3月15日(日) 森ノ宮ピロティホール

 

観劇日:2020年2月17日(月)18:30公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『エブリ・ブリリアント・シング』を観劇した感想(ネタバレあり)

第57回目のレビューは、佐藤隆太さん一人舞台『エブリ・ブリリアント・シング』です。


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出演者は佐藤隆太さんただ一人。

 

でもただの一人舞台ではなく、観客も巻き込む、体験型の舞台。なので、観客にセリフを喋らせたり、実際にステージまで連れてきて演じさせたり、はたまたムチャぶりをしたり。

 

観客も一緒に作品を作り上げていくという面が強く出ており、自分自身もこの作品の一部なんだ、という気持ちが生まれました。

 

 

劇場全体がステージに

 

 

 

ストーリーが進むにつれて演劇と現実の境目がなくなり、2つの世界が混ざりあう。

 

普通の舞台ではあり得ない、演劇の世界=向こうの世界への没入感たるや、未体験の感覚でした。

 

 

佐藤隆太さん演じる"僕"は、自身の生い立ちを話します。もちろん役柄の、ですが、観客は演劇空間に入り込んでいるので、もはや彼自身の話なんじゃないかと勝手に脳がそう変換してしまうんです。

 

 

子供の頃に飼っていたペットの犬の話や小さいころの父との記憶。

”僕”にとってはどこか悲しい記憶です。

 

 

そして、母親のうつ病について話し始めます。母は生きることにくじけそうになっていたのです。

 

 

そんな母親、そして自分自身を励ますために、”僕”は「人生におけるステキなもの」を見つけてノートに書いていくことにしたのです。

 

 

本作の上演前、佐藤さんは何人かの観客に番号と何かが書かれた紙を配っています。

その紙には「人生におけるステキなもの」が一つずつ書かれていたのです。

 

 

ストーリーを進めていく中で佐藤さんは番号を呼びます。その番号の紙を持ったお客さんはその紙に書かれている「人生におけるステキなもの」を読み上げていくのです。

 

 

男の子の声、おばあさんの声、お姉さんの声、おじさんの声。様々な声が自分の後ろから、横から、向こう側の右端から、様々な場所から聞こえてきます。

 

 

「人生におけるステキなもの」を皆で読んでいくことで、”僕”の物語を、観客も少しのお手伝いをしながら進めていきます。

 

 

佐藤さん演じる”僕”と観客の対話が一体感を生み出し、一つの作品を全員で作り上げようとする、素敵な空気感みたいなものが広がっていました。

 

 

親のうつ病や大切な人との別れ、人生において苦しい局面は幾度となくやってくるけれど、それを乗り越え、「明日も楽しく生きよう」と、そっと、でも力強く背中を押してくれました。

 

 

佐藤隆太さんの人柄と優しさ

 

 

ステージを囲うようにして360度、席が並べられており、佐藤さんはその真ん中で、いや、客席の間も使いながら私たちに話をしていきます。

 

話が進んでいくなかで、悲しんだり、怒ったり、喜んだり。

 

”僕”の人生における喜怒哀楽がぎゅっと詰まっていたと感じましたし、こんなに至近距離で役者が演じている姿を見る経験はあまりないので、そういう点においても、佐藤さんの芝居力を直に感じました。

 

 

佐藤さんの役者としてのキャリア、そして何よりも、佐藤さんのお人柄がないと成立しない作品だと思います。

 

 

本作は東京公演を皮切りに、全国5か所を回ります。

 

地方公演は、東京公演とはまた違ったお客さんの反応になるんでしょうね~。

そう考えただけでもとてもわくわくします。

 

 

70分間、少し胸が苦しくなるシーンもあるけれど、佐藤さんとあの空間にいた人全員で作り上げるこの作品は、何にも変え難い経験と勇気をくれました。

 

 

1人でも多くの人に観てもらいたい、本当にそう感じたステキな作品です。

 

 

【公演情報】

 

 

 

『エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~』

 

 

作:ダンカン・マクミラン、ジョニー・ドナビュー

 

翻訳:谷 賢一

 

出演:佐藤隆太

 

 

日程:

東京公演: 2020年1月 25日(土)~2月5日(水) 東京芸術劇場 シアターイース

新潟公演:2020年2月 8日(土)~2月11日(火)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場

松本公演:2020年2月15日(土)~2月16日(日)まつもと市民芸術館・特設会場

名古屋公演:2020年2月18日(火)・19日(水) 名古屋市千種文化小劇場

大阪茨木公演:2020年2月22日(土)・23日(日)茨木市市民総合センター センターホール舞台上特設劇場

高知公演:2020年2月29日(土)・3月1日(日)高知市文化プラザかるぽーと

 

 

観劇日:2020年2月2日(日)13:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『七転抜刀!戸塚宿』を観劇した感想(ネタバレあり)

第56回目のレビューは、明石家さんまさん主演『七転抜刀!戸塚宿』です。

 

 

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お笑い怪獣明石家さんまさんが5年ぶりに舞台で主演をされるということで、情報解禁後から非常に楽しみにしておりました!

 

終始会場が笑いに包まれ、最後にはホロっとさせられる、とても素敵な作品でした。

  

脱線しまくりさんまさんワールド

 

 

さんまさんに生で会いたい!というのが長年の夢のひとつでした。

本作のチケットを取ったとき、「やっとさんまさんに会える!」の気持ちでいっぱいで、当日は浮足立ちながら会場に向かいました。

 

本作でさんまさんは仇討で追われる武士、そしてその武士に恨みを持ち、仇討をしようとたくらむ武士を演じるのは中尾明慶さんです。

 

とにかく脱線しまくりでなかなか話が進まない!!!こんなに話の進まない舞台は初めてでしたが、さんまさんの誰にも止められない暴走っぷりが面白すぎて、会場が常に笑いに包まれているというとてつもないパワー溢れる作品でした。

 

 

どこまでがセリフでどこまでがアドリブかが分からず、舞台上の役者さん方も吹き出してしまうシーンが何度もあったり、さんまさんが共演者のみなさんにアドリブを仕掛けたりなど、そんな無茶ぶりに柔軟に対応していく役者の皆さんを尊敬しつつ、長台詞や殺陣などをしっかりとこなすさんまさんの姿が純粋にかっこよかったです。

 

 

一方で、仇討ちにつながる過去やシリアスなシーン、本作のストーリーに重みを出す部分で中尾さんの存在が非常に重要でした。

コミカルでありつつ、とある事件で殺された自身の父親も演じるという二役を演じ分けており、物語の後半、鍵となるシーンでの気迫あふれる演技に圧倒されました。

 

また、照明や音響を使った演出が非常に面白く、もはやご法度でしょ!と笑わざるを得ない手法でストーリーがさらに脱線。

 

ここまでしても本作がコントや新喜劇ぽくならないのは、佐藤仁美さんや温水洋一さんなど実力派かつコメディーにも対応できる役者が共演しているからなのだと思いました。

 

 

物語の最後、さんまさん演じる武士がこんなことを言います。

 

「明日はきっと面白くなる。そう思わないとやってられねぇだろ。」

 

諦めともとれるし、希望ともとれるこのセリフ。

そんなセリフをさんまさんに言わせる凄さ。

 

 

今の自分と重ね合わせて自然と涙が出てきたのと同時に、さんまさんからこんな言葉が聞けたという凄さで体中が痺れる、そんな感覚になりました。

 

東京公演は終わってしまいましたが、大阪公演が始まります。

さんまさんの地元大阪ですから、アドリブがさらに暴走すること間違いなしです。

 

お笑い怪獣のパワーに圧倒された、最高に幸せな3時間でした。

(上演時間2時間45分のところ、アドリブ部分が伸びて3時間に・・・笑)

 

【公演情報】

 

 

「七転抜刀!戸塚宿」

 

脚本:福原充則

演出:水田伸生

 

出演者:明石家さんま中尾明慶、山西 惇、温水洋一、八十田勇一、犬飼貴丈、吉村卓也、加瀬澤拓未、粂川鴻太、佐藤来夏、佐藤仁美

 

日時:

東京公演:2020年1月10日(金)~1月31日(金) 

大阪公演:2020年2月20日(木)~2月26日(水)

 

 

観劇日:2020年1月28日(火)19:00公演

 

 

 

舞台『阿呆浪士』を観劇した感想(ネタバレあり)

 

第55回目のレビューは、舞台『阿呆浪士』です。

 

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新国立劇場 中劇場にて公演中の本作は、2020年の幕開けにふさわしいお祭り騒ぎな作品で、終始笑いの絶えない、でも最後はホロっとさせるボリューム満点の作品でした!!!

 

かの有名な「赤穂浪士」。その赤穂浪士を題材とし、エンターテイメント作品へと昇華させた本作。

 

主役である、長屋に住むアホでお調子者の魚屋、「八」を演じるのはA.B.C-Zの戸塚祥太さん。

八はひょんなことから赤穂浪士血判状を手にしてしまい、自身を赤穂浪士と嘘をついてしまう。その嘘がさらなる嘘を呼び、本物の赤穂浪士として討ち入りを決行することに・・・!

阿呆らしく生きて、阿呆らしく散る。そんな八の生き様はどこか憎めなくて愛らしく、一人の男としての意地を感じて胸が熱くなりました。

 

お調子者の八と戸塚祥太

 

 

八を演じる戸塚祥太さんは毎年主演の舞台をされ、昨年はデビュー前のビートルズを題材とした「BACK BEAT」で主演をされておりました。

 

以下にレビューを記載しておりますので、ぜひご覧ください!

 

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八はお調子者ゆえ感情豊かで、そのさまざまな感情が戸塚さんの表情にしっかりのっていて、こんなにコロコロとしっかり表情を変えて演じられる戸塚さんの演技力に感動しました。

 

BACKBEATで演じられたスチュアートとは全く異なるキャラクターをここまでの完成度で演じられている戸塚さんは、憑依型の役者なのだなぁと思わざるをえません。

 

戸塚さんはコメディ作品への挑戦は今回が初めてとのことですが、そんなことは微塵も感じさせず、粋で快活で、時に茶目っ気があり、でも芯にはしっかり男気のある八を全身全霊で魅力的に演じておりました。

 

また、本当の赤穂浪士の一人、田中貞四郎を演じるのはふぉ~ゆ~の福田悠太さん。

福田さんも舞台経験が豊富で、本作のコミカルなシーンもシリアスなシーンもきっちりと演じ切り、その役者としての表現力に非常に器用だという印象を受けました。

 

田中貞四郎というキャラクターは大石内蔵助や魚屋の八たちに翻弄され、幾度となく振り回されます。赤穂浪士としての使命を果たすのか、それとも一人の人間としての人生を選ぶのか、悩んだ末にひとつの結論を出します。その最期の雄姿はとても勇ましく、福田さんの役者魂を感じるシーンでした。

 

 

雪降る討ち入り

 

 

物語の後半、しきりに降り続ける雪が印象的でした。

 

討ち入りの決行が決まってから雪が降り続け、吉良邸へ討ち入り吉良の首を取る、その瞬間まで、雪に見立てた紙吹雪が舞台上に積もっていきました。ここまで多くの紙吹雪を使った演出は見たことなく、とても印象的なシーンになっているなぁと感じました。

 

大きな舞台転換はないのですが、最後の最後に大仕掛け。

 

最後に「阿呆浪士」一座が作り出す江戸小屋のような雰囲気を感じることができ、自然と顔がほころんでしまいました。

 

また、劇中に観客がうちわやペンライトを振って参加できるシーンがありました。演者も観客も全員が参加してお祭り騒ぎができる演出は、あの空間にいるすべての人が笑顔になり、幸せな演出ですよね。

 

東京公演は1月24日まで公演中で、チケットもまだ発売している日もございます。

とてもエンターテインメント性に溢れた作品ですので、ぜひご覧ください!!!

 

 

【公演情報】

 

パルコ・プロデュース『阿呆浪士』

 

脚本:鈴木 聡
 
出演:戸塚祥太A.B.C-Z)、福田悠太(ふぉ~ゆ~)、南沢奈央伊藤純奈(乃木坂 46)宮崎秋人堺小春、八幡みゆき、新良エツ子、佐藤誓、おかやまはじめ、松村武、玉川奈々福竹内都子小倉久寛 ・・・etc
 
公式サイト:https://stage.parco.jp/
 
東京公演:2020年1月8日(水)~24日(金) 新国立劇場 中劇場
 
大阪公演:2020年1月31日(金)~2月2日(日) 森ノ宮ピロティホール
 
 
観劇日:2020年1月11日(土)13:30公演
    2020年1月14日(火)13:30公演
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

羽ばたけ小劇団シリーズ④ 座・遅咲会「絡縺」を観劇した感想

第54回目のレビューは、座・遅咲会11月公演「絡縺」です。

 

座・遅咲会とは、女優 中川ミコさんが主宰の劇団で、今年1月~12月まで毎月1本ずつ、12か月連続公演を行うという年間プロジェクトを現在開催しています。

 

本作はその年間プロジェクトの11月公演ということで、今回も観劇してきました。

 

5月公演として上演されていた「愛need獣」のレビューも記載しておりますので、ぜひご覧ください。

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今回の「絡縺」は、ストーリーがかなりしっかりしていて、観ていてぐっと引き込まれました。

先の読めない展開が続き、観ているこちらも予想していない展開に何度も驚いてしまいました!!!

 

ワンシチュエーションで、主人公が危機的状況になり、何かを必死に隠そうとする姿って面白いですね。観客は全てを知っているからこそ、隠そうとする姿がバカバカしくて、何度も笑ってしまいました。

 

アニメっぽい言い回しや演出が多いかなぁという印象で、なかなか実際に言うとなると難しいセリフが多かったように感じましたが、役者さん方が本当に上手で、みなさん自然に演じられていて、とても観やすかったです!

 

 

【公演情報】

 

 

座・遅咲会11月公演「絡縺」

 

脚本・演出:大和

 

出演:中川ミコ、千綿勇平、大柿誠、藤沢友千葉、円田はるか、陽向海真珠、岡崎賢、前田直紀、杉島俊輝

 

日程:2019年11月19日(火)~11月24日(日)

 

会場:小劇場てあとるらぽう

 

観劇日:2019年11月23日(金)19:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『相対的浮世絵』を観劇した感想(ネタバレあり)

第53回目のレビューは、「相対的浮世絵」です。

 

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下北沢 本多劇場で上演中の本作は、20年の時を経て再会した兄弟を軸に、不思議な空間で巻き起こった彼らの「人生」を描いた作品でした。

 

 

現在を生きる二人と時間が止まったままの二人

 

 

主人公の岬智朗と教師をしている関は高校からの同級生。

彼らは仕事や家庭に問題を抱え、行き詰っていた。

 

ある日、「事故」で死んだはずの弟と友人が突然目の前に現れた。しかも「僕たちは幽霊じゃない」なんて言っている。

 

なんとも鵜呑みにはできない状況だが、そんな二人に振り回される智朗と関。会えて嬉しい一方、会いたくない気持ちもあったのだ。

 

20年前、達郎と遠山が亡くなった事故は部室の火災で、当時4人は部室にいた。その原因は智朗のタバコの火。そして智朗は遠山を燃え盛る部室に残して逃げ出してしまい、弟の達郎は智朗を助け出そうと部室へ入り、命を落としていた。

 

 

自分達のせいで亡くなった二人が突然目の前に現れた。

 

複雑な気持ちを抱えながらも、彼らに付き合ううちに、昔話に花が咲く。

 

昔話は徐々に「事故」へ話が及び、不穏な空気が流れ始める。あの日、本当は何が起こったのか、誰の言葉が正しかったのか。

4人があの「時間」を思い出した時、4人の時間が動き始めるのだった。

 

 

本作の台詞はなまりのある方言で、場面転換がなく動きの少ない会話劇である本作に方言台詞が作品全体の緩急をつけていました。

 

 

時折出てくる「事故」の言葉に智朗と関は何ともいえない表情をするのですが、そんな二人を許しているのかしていないのか、亡くなった達郎と遠山は明るい表情で「事故」という言葉を発します。

 

現在を生きている二人にとって、「事故」は過去のもの。20年という月日が過ぎ、記憶も出来事も薄れていたのです。

しかし、その「事故」のせいで亡くなった二人は時間が止まったまま。彼らの人生は「事故」で終わっているのです。

 

 

4人があの「事故」ときちんと向き合ったとき、今まで隠していた彼らの本音が溢れ出てきます。

緊張感で空気が張り詰め、観劇しているこっちまで息をするのを忘れてしまうくらいの緊張感でした。

 

 

時間を巻き戻すことはできないけれど。

 

 

自分の人生を見つめ直すことはできます。

本作からこんなことを感じました。

 

智朗と関は、自分自身を嘘や悪行で固め、後戻りもできない状況で日々生きていました。

 

そんなとき、死んだはずの達郎と遠山が目の前に現れたことで、自身の過去を見つめ直し、現在を見つめ直すことができたのです。

 

 

見つめ直したことで、仕事も家庭も全て失った二人でしたが、とても清々しくて、暗転直前まで笑い合っている二人がなんとも素敵で、印象的なシーンでした。

 

人間として一回り、いや、二回り大きくなった姿を最後に見せてくれるのでした。

 

 

今回、NONSTYLEの石田さんが出演されるということで本作を観劇しました。

 

石田さんは何度も舞台出演経験があり、非常に演技が繊細で上手く、以前から大好きな芸人さんです。

 

今回も、主人公の親友である関を、既存のイメージとは異なるキャラクターでしたが違和感なく演じており、やっぱり演技上手だなぁと再確認させてもらいました。

 

 

【公演情報】

 

『相対的浮世絵』

 

作:土田英生

 

演出:青木豪

 

出演: 山本亮太、伊礼彼方、石田明、玉置玲央、山西惇

 

日時:

東京公演:2019年10月25日(金)〜11月17日(日) 下北沢 本多劇場

大阪公演:2019年11月22日(金)~11月24日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

 

 

観劇日:2019年11月2日(土)18:00公演