『書きます!#観劇レビュー』

20代の管理人が鑑賞した舞台のレビューを書き残していきます!

舞台『Oslo(オスロ)』を観劇した感想(ネタバレあり)

第61回目のレビューは、新国立劇場にて上演中の舞台「Oslo(オスロ)」です。

 

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V6坂本昌行さん主演の本作は、国同士の駆け引きや人間のエネルギーに満ち溢れる、パワフルな作品でした。

 

 

敵国同士の極秘交渉

 

 

1990年頃、イスラエルパレスチナは過去から長きにわたって緊張関係にあり、いまもなお紛争も絶えない状況であった。その状況を目の当たりにした坂本さん演じるノルウェー社会学者ラーシェンは両国へ和平をもたらすことを決意し、妻でありノルウェー外務省職員であるモナとともに様々な人たちの協力を得ながら両国の交渉を進めていく.....

という物語です。

 

観客全員がすぐ理解するには非常に難しいテーマであり、多くの専門用語が飛び交うため、事前予習が必要だと痛感しました。もしくは「高校生のときに世界史もう少し頑張っておけばよかった・・・」。

 

冒頭から状況がつかめずとっつきにくい印象でしたが、物語が進むにつれて、冒頭が伏線になっていることに気づきます。

物語のはじめは交渉が順調に進んでいないように見受けられるのですが、それもまた伏線。物語が進むにつれて、坂本さん演じるラーシェンと安蘭けいさん演じる妻モナの交渉を円滑に進めるための作戦であることが分かり始めるのです。

 

 

ラーシェンの覚悟とモナの支え

 

 

ラーシェンは極秘交渉を円滑に進めるため、そして各国の了解を得るためにとにかく奔走します。時には矢面に立って両国からの不満や批判を浴びたり、一方で自分だけでは対処しきれずモナに助けを求めることも。それでもこの交渉を必ず成立させるという強い意志が、作品全体を通して常に伝わってくるのです。

坂本さんの紳士的かつ可愛らしいイメージが、時に強く、時にか弱く見えるラーシェンというキャラクターをさらに魅力的に見せていたと思います。

 

そんなラーシェンを常に支え、同じ理想をめざしともに奔走するのが妻のモナ。そのモナを演じたのは安蘭けいさんです。

強くたくましく、一方で女性ならではの柔軟さも併せ持つ彼女の存在は交渉を進めるにあたっては必要不可欠。安蘭さんが演じてくださったことで、モナという存在がこの交渉下においていかに必要かということに説得力がありました。

 

1人二役

 

本作では、主要キャラクターを演じている相島一之さん、河合郁人さんらが二役を演じていることに驚きました。

特に河合さんは両者の登場シーンが近い場面があり、早着替えとなるシーンも多々ありました。熱血で笑顔なしの外務省職員と個性的で陽気なキャラクターである研究員という似ても似つかぬ二役を演じ、全く異なるキャラクターだからこそ演じ分けも素晴らしく、場面展開と同時に、十数秒後には別のキャラクターとしてステージ上に現れるのは視覚的にも面白い演出でした。

 

 

映像を使った演出

 

ステージ上には一面に大きな壁が設置され、物語が進むにつれて、壁にプロジェクションマッピングで紛争の映像が映し出されます。

壁が大きなスクリーンとなり、イスラエルパレスチナの当時の状況を観客に伝えます。実際の映像が流れることで悲惨な状況が伝わり、よりリアリティかつ緊張感のある交渉の瞬間をその場で実際に体験しているかのようでした。

 

 

【公演情報】

 

Oslo(オスロ

 

作:J・T・ロジャース

 

演出:上村聡史

 

出演者:坂本昌行安蘭けい福士誠治河合郁人横田栄司石田圭祐那須佐代子、石橋徹郎、佐川和正、チョウ・ヨンホ、駒井健介、吉野実紗、相島一之、増岡徹

 

 

東京公演:2021年2月6日(土)~2月23日(火・祝)

宮城公演:2021年2月27日(土)~2月28日(日)

兵庫公演:2021年3月3日(水)~3月7日(日)

福岡公演:2021年3月13日(土)~3月14日(日)

愛知公演:2021年3月20日(土)~3月21日(日)

 

 

観劇日:2021年2月11日(木・祝)13:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追悼 三浦春馬さん ~数々の出演舞台を観劇して~

 

2020年7月18日、大好きな俳優、三浦春馬さんがこの世を去りました。

 

あまりに突然のことで、当然受け止めることもできず、数日間涙が止まりませんでした。

今でも信じられません。主演のドラマが昨年放送されましたし、現在も出演されている映画が公開されています。

まだどこかで生きているとしか思えないんです。なので、この事実を受け入れるのにはまだ当分時間がかかりそうです。

  

 

私がこの観劇ブログを始めたきっかけも三浦春馬さんでした。

 

 

2016年、春馬さん主演の「キンキーブーツ」を観劇しました。この作品のパワーに圧倒され、春馬さん、小池徹平さんはじめとするキャストの皆さんのパフォーマンスに感激し、この興奮を多くの人に伝えたい!その一心で開設しました。

そして第1回の観劇レビューとして「キンキーブーツ」をレビューしました。

 

「キンキーブーツ」から感じた興奮は今でも思い出しますし、忘れることはありません。三浦さん演じるローラはとにかくステージ上で力強く華やかで、私たち観客に自分らしく生きることの楽しさを教えてくれました。

 

2019年には三浦さん主演舞台であり、ドフトエフスキー作品の非常に重厚で難解な作品である「罪と罰」を観劇し、役柄が憑依したかの如く演じる彼に目を奪われたのを覚えています。

 

 

亡くなった人は戻ってきません。ただ、ドラマや映画、数々の作品の中で生き生きとしている三浦さんを見ることはできます。

 

残された私たちは、彼の作品を見て、彼の人柄や演技にこれからも思いを馳せて、彼が最高の役者だったことを忘れないことしかできません。

大好きな作品がたくさんあります。コメディもシリアスも何でもこなす、器用で大好きな俳優、三浦春馬さん。もっともっといろんな役を演じる三浦さんを見たかった。おじさんになった渋いお顔も見たかった。おじいちゃん役もこなす三浦さんも見たかったな。

いままでもこれからも大好きな俳優であることに変わりはありません。素敵な作品を残してくれてありがとう。残してくれた作品を胸に抱えて、私たちは三浦さんの見れなかった明日を生きていきます。私の大好きな言葉である、「人生生きているだけで丸もうけ」って三浦さんに伝えたかったです。

どうかお元気で、穏やかに天国で笑顔で過ごされていることを願っています。

 

                                2021年2月

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』を観劇した感想(ネタバレあり)

第60回目のレビューは、3回目の上演となるミュージカル「モンティ・パイソンSPAMALOT」です。

 

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本作はブロードウェイ作品で2012年に日本で初演、2015年に再演を果たし、6年ぶりとなる今年2021年に2度目の再演となった大人気作品です。

 

台本・演出は福田雄一さん。そして主演は山田孝之さん。福田さん演出×山田孝之さん主演となれば、面白くないはずがありません。そして結果的に3時間笑いっぱなしで劇場を後にしていました。

 

とにかく笑えるミュージカル

 

本作のストーリーは訳が分からず面白いですし、演出もポップでお祭り的な要素もありました。さらに、何人ものメインキャストが入れ替わり立ち代わり、様々なキャラクターを演じ分ける面白さもあり、終始笑ってしまいました。

 

キャラクターそれぞれのキャラが濃く、特にシソンヌのお二人は芸達者かつお二人の持つ世界観も合わさって、俳優さんたちのコメディ部分をさらに色付ける、本作の絶対的キーパーソンだったと思います。

 

 

ミュージカルの女王 新妻聖子さん

 

いつか新妻聖子さんのミュージカルに行って、直接あのすばらしい歌声を聴いてみたい、と思っていたのですが、まさか本作でその夢が叶うとは思いませんでした。

そして「ミュージカル女王の無駄使い」がステージ上で堂々と繰り広げられていました!

 

何ともミュージカルの女王には言わせてはいけないセリフを音楽に乗せて歌う新妻さんは、吹っ切れているように見えて清々しい歌いっぷり。福田さん演出ならではのシーンも多数あり、女王にそこまでやらせるか!と会場が笑いに包まれていました。

そして素晴らしいお声で、本作のミュージカルとしてのクオリティの全面を担ってくれていたと思います。

 

 

新型コロナウイルス感染拡大状況下での観劇

 

 

個人的に、最近は新型コロナウイルスの影響で趣味だった舞台鑑賞から足が遠のき、あまり観劇の機会がありませんでした。精神的に、観劇に費やす余裕が減っていたというのが理由です。

 

ですが、この作品を観劇して、観劇することの楽しさを思いださせてくれました。そして、気持ちが前に向きにくいこんな時だからこそ、何も考えずただ笑わせてくれる、こういう作品を見るべきだと思いました。

 

 

ただ「面白い」以上のものをこの作品から与えてもらった気がしています。

 

 

【作品情報】

 

 

ミュージカル「モンティ・パイソンSPAMALOT

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」featuring SPAM公式ホームページ

 

上演台本・演出:福田雄一

 

出演者:山田孝之賀来賢人小関裕太、三浦宏規、矢本悠馬、じろう(シソンヌ)、長谷川忍(シソンヌ)、新妻聖子・・・etc

 

東京公演:2021年1月18日(月)~2月14日(日) 東京建物Brillia HALL

大阪公演:2021年2月28日(木)~2月23日(火・祝) オリックス劇場

福岡公演:2021年2月26日(金)~2月28日(日) 福岡市民会館大ホール

 

観劇日:2021年2月13日(土)17:00公演

 

羽ばたけ小劇団シリーズ⑤ 遅咲会「偉人ちゃん2020~本能寺が変~」を観劇した感想

第59回目のレビューは、遅咲会第14回 2020年9月公演「偉人ちゃん2020~本能寺が変~」です。

 

新型コロナウイルス感染症のため、3月以降観劇予定だった公演は全て中止、払い戻しの日々でしたが、先月より少しずつですが観劇に行けるようになってきました。

 

その中でも今回は、以前から数回観劇させていただいております「遅咲会」さんの舞台を観劇してきました。

 

前回観劇した際のレビューは以下に掲載しておりますので併せてご覧ください!

www.kakimasu-review.com

 

本作は昨年上演された「偉人ちゃん2019」の続編ということで、(実は昨年観劇していたのですが、レビューを書き忘れておりました・・・)昨年上演時のキャラクターはもちろん、今回新たに登場するキャラクターも多数登場し、前回にも増してお祭り騒ぎでパワフルな作品となっておりました!

 

〈あらすじ〉

ここは遅咲会出版編集部。昨年に引き続き今年も、歴史上の偉人を多数収録した人物事典「偉人ちゃん2020」の出版が決定し喜ぶ編集部。しかし、今年からプロジェクトリーダーとなった川上と元々のプロジェクト発起人である安住は内容の方向性で言い争いをしてしまう。

編集部のお局社員である遠藤が身に付けた、「偉人たちと向き合い過ぎて偉人を現世によみがえらせる能力」を使い、偉人たちから"生きた証言"を手に入れようとする川上と、歴史家が築き上げてきた”諸説あり”という文化を崩すべきではない、という安住。

二人のいさかいは、ほかの社員や偉人たち、未来人をも巻き込んで「本能寺の変」をめぐる大騒動へと発展していく-。

 

 

時代も登場人物もコロコロ変わる、終始めまぐるしい作品で、そんな作品を一つにまとめあげる脚本、出演者の皆さん、とにかく凄いです。

 

登場人物が多い分、混乱するかと思ったのですが、それぞれのキャラクターの見せ場もあり、テンポよくストーリーが進んで観やすかったです。

 

 

【公演情報】

 

 

遅咲会第14回公演「偉人ちゃん2020~本能寺が変~」

 

脚本・演出:福井しゅんや(fukui劇)

 

出演:中川ミコ、大柿誠、菊田貴公、太田純平、真僖祐梨、アモーレ橋本、岡崎賢、緒方夏生、華麗るぅ、川竹達也、金純樹、鈴木美玖、波田地綾奈、松本洋一

 

日程:2020年9月21日(月)~9月27日(日)

 

会場:コフレリオ新宿シアター

 

観劇日:2020年9月25日(金)19:30公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』を観劇した感想(ネタバレあり)

第58回目のレビューは、『泣くロミオと怒るジュリエット』です。

 

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ジャニーズWEST桐山照史さん主演で、出演者が全員男性の新感覚"ロミオとジュリエット"です。

 

大阪が舞台ということで、関西弁で繰り広げられるロミオとジュリエットは、登場人物たちに親近感を抱きながらも、日本の社会情勢や人を愛することについて考えさせられる重厚な作品となっておりました。

 

 

全員男性のロミオとジュリエット

 

 

 

本作で女性役を演じられたのは、柄本時生さんと八嶋智人さんのお2人です。

 

柄本時生さんはジュリエットを、八嶋智人さんはジュリエットの義理の姉、ソフィアを演じられていました。

 

ジュリエットは、なんともけなげで可愛いらしく、ソフィアは強い女性!という印象でした。

 

良くないことと分かっていても彼のことが忘れられなかったり、手に負えなくても愛してるからこそそばにいることを選んだり、愛は人を動かす大きな原動力になるのです。

 

また、男性が演じられることで、女性の強さや可愛らしさ、いじらしさなんかがより鮮明に観客に伝わるような気がして、女性という立場から女性そのものを客観的に考えることができました。

 

大胆にアレンジされた「ロミオとジュリエット

 

 

 

シェイクスピアによって生み出された「ロミオとジュリエット」は純愛物語です。

 

大きなストーリー自体は変わらないのですが、彼らを取り巻く環境や社会情勢を全く異なるものにアレンジすることで、複雑なエネルギーに満ち溢れた作品になっておりました。

 

地域対立や紛争、公害など、社会が生み出す弊害に苦しむ人々は正しい判断ができなくなって、混乱を生み出し、やがて人を傷つけあう。

現代にも通ずる社会の混乱を「ロミオとジュリエット」の作品背景にすることで、様々な感情が私たち観客を取り巻くのです。

 

設定が設定なゆえ重くなりがちですが、随所に笑いをちりばめ、シリアスにしすぎないように表現をされていたのが、素晴らしかったです。

 

演出を担当されたのは、鄭 義信さん。近年では石原さとみさん主演「密やかな結晶」も演出されていました。

www.kakimasu-review.com

 

こちらも、シリアスな展開の中にも笑いをちりばめ、緩急の付けた演出でとても素晴らしかったです。

 

第1幕の終わり、ロミオは親友を殺された腹いせに、人を殺めてしまいます。

罪の重さと自身の犯してしまった行為に後悔し、感情が整理できず混乱するロミオに雨が降り注いできました。

水を使った演出はそんなに多くの作品で見かけません。ですが、ロミオの混乱や後悔を表現するには効果的かつ、非常に印象的なシーンになったと思いました。

 

また、遺影を持って踊ったり、ロミオとジュリエットが亡くなったあとも八嶋さんや段田安則さんらが笑いを起こして、感傷的に浸るシーンにも関わらず緩急をつけて展開している点が新感覚でした。

 

ラストシーン

 

 

ロミオとジュリエットは、お互いを想うが故に命を絶ちます。

その二人の独白シーンは、心痛みました。

 

ジュリエットは目を覚ました後、横にロミオが毒を飲んで横たわっているのを見つけます。「私の希望が目の前で死んでいるの」

自身の希望が亡くなったことで、生きることの目的を見失い、ナイフで自殺します。

 

ラストシーン、ロミオとジュリエット亡き世界では、紛争が起き、世の中が混乱の渦に飲み込まれていきます。

 

人が人を殺め、泣き声や叫び声が飛び交う中、純白のドレスとタキシードを身にまとったロミオとジュリエットがゆっくりと現れます。

 

その二人が美しすぎるがゆえに、周りで混乱する人々との対比が色濃く出て、圧倒的に"美しい地獄絵図"を観ているかのようでした。

 

もちろん、生きている人々からは見えていませんが、その二人がとても幸せそうで、笑顔で、

生きている人と、亡くなった人、この世の中ではどちらが幸せなんだろうなぁと考えてしまうような終わり方でした。

 

 

もともとロミオとジュリエットの持つ純愛群像劇に新たな解釈が加わり、心打たれる素晴らしい作品でした。

 

 

【作品情報】

 

 

シアターコクーン・オンレパートリー『泣くロミオと怒るジュリエット』

 

作・演出:鄭 義信

 

出演者:桐山照史柄本時生、橋本 淳、元木聖也、高橋 努、岡田義徳、朴 勝哲、みのすけ福田転球八嶋智人段田安則、岩男海史 白石惇也 鈴木幸二 砂原一輝 西村 聡 平岡 亮 ふじおあつや、水谷 悟 、宗綱 弟 ワタナベケイスケ

 

東京公演:2020年2月8日(土)~3月4日(水) Bunkamuraシアターコクーン

大阪公演:2020年3月8日(日)~3月15日(日) 森ノ宮ピロティホール

 

観劇日:2020年2月17日(月)18:30公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『エブリ・ブリリアント・シング』を観劇した感想(ネタバレあり)

第57回目のレビューは、佐藤隆太さん一人舞台『エブリ・ブリリアント・シング』です。


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出演者は佐藤隆太さんただ一人。

 

でもただの一人舞台ではなく、観客も巻き込む、体験型の舞台。なので、観客にセリフを喋らせたり、実際にステージまで連れてきて演じさせたり、はたまたムチャぶりをしたり。

 

観客も一緒に作品を作り上げていくという面が強く出ており、自分自身もこの作品の一部なんだ、という気持ちが生まれました。

 

 

劇場全体がステージに

 

 

 

ストーリーが進むにつれて演劇と現実の境目がなくなり、2つの世界が混ざりあう。

 

普通の舞台ではあり得ない、演劇の世界=向こうの世界への没入感たるや、未体験の感覚でした。

 

 

佐藤隆太さん演じる"僕"は、自身の生い立ちを話します。もちろん役柄の、ですが、観客は演劇空間に入り込んでいるので、もはや彼自身の話なんじゃないかと勝手に脳がそう変換してしまうんです。

 

 

子供の頃に飼っていたペットの犬の話や小さいころの父との記憶。

”僕”にとってはどこか悲しい記憶です。

 

 

そして、母親のうつ病について話し始めます。母は生きることにくじけそうになっていたのです。

 

 

そんな母親、そして自分自身を励ますために、”僕”は「人生におけるステキなもの」を見つけてノートに書いていくことにしたのです。

 

 

本作の上演前、佐藤さんは何人かの観客に番号と何かが書かれた紙を配っています。

その紙には「人生におけるステキなもの」が一つずつ書かれていたのです。

 

 

ストーリーを進めていく中で佐藤さんは番号を呼びます。その番号の紙を持ったお客さんはその紙に書かれている「人生におけるステキなもの」を読み上げていくのです。

 

 

男の子の声、おばあさんの声、お姉さんの声、おじさんの声。様々な声が自分の後ろから、横から、向こう側の右端から、様々な場所から聞こえてきます。

 

 

「人生におけるステキなもの」を皆で読んでいくことで、”僕”の物語を、観客も少しのお手伝いをしながら進めていきます。

 

 

佐藤さん演じる”僕”と観客の対話が一体感を生み出し、一つの作品を全員で作り上げようとする、素敵な空気感みたいなものが広がっていました。

 

 

親のうつ病や大切な人との別れ、人生において苦しい局面は幾度となくやってくるけれど、それを乗り越え、「明日も楽しく生きよう」と、そっと、でも力強く背中を押してくれました。

 

 

佐藤隆太さんの人柄と優しさ

 

 

ステージを囲うようにして360度、席が並べられており、佐藤さんはその真ん中で、いや、客席の間も使いながら私たちに話をしていきます。

 

話が進んでいくなかで、悲しんだり、怒ったり、喜んだり。

 

”僕”の人生における喜怒哀楽がぎゅっと詰まっていたと感じましたし、こんなに至近距離で役者が演じている姿を見る経験はあまりないので、そういう点においても、佐藤さんの芝居力を直に感じました。

 

 

佐藤さんの役者としてのキャリア、そして何よりも、佐藤さんのお人柄がないと成立しない作品だと思います。

 

 

本作は東京公演を皮切りに、全国5か所を回ります。

 

地方公演は、東京公演とはまた違ったお客さんの反応になるんでしょうね~。

そう考えただけでもとてもわくわくします。

 

 

70分間、少し胸が苦しくなるシーンもあるけれど、佐藤さんとあの空間にいた人全員で作り上げるこの作品は、何にも変え難い経験と勇気をくれました。

 

 

1人でも多くの人に観てもらいたい、本当にそう感じたステキな作品です。

 

 

【公演情報】

 

 

 

『エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~』

 

 

作:ダンカン・マクミラン、ジョニー・ドナビュー

 

翻訳:谷 賢一

 

出演:佐藤隆太

 

 

日程:

東京公演: 2020年1月 25日(土)~2月5日(水) 東京芸術劇場 シアターイース

新潟公演:2020年2月 8日(土)~2月11日(火)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場

松本公演:2020年2月15日(土)~2月16日(日)まつもと市民芸術館・特設会場

名古屋公演:2020年2月18日(火)・19日(水) 名古屋市千種文化小劇場

大阪茨木公演:2020年2月22日(土)・23日(日)茨木市市民総合センター センターホール舞台上特設劇場

高知公演:2020年2月29日(土)・3月1日(日)高知市文化プラザかるぽーと

 

 

観劇日:2020年2月2日(日)13:00公演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台『七転抜刀!戸塚宿』を観劇した感想(ネタバレあり)

第56回目のレビューは、明石家さんまさん主演『七転抜刀!戸塚宿』です。

 

 

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お笑い怪獣明石家さんまさんが5年ぶりに舞台で主演をされるということで、情報解禁後から非常に楽しみにしておりました!

 

終始会場が笑いに包まれ、最後にはホロっとさせられる、とても素敵な作品でした。

  

脱線しまくりさんまさんワールド

 

 

さんまさんに生で会いたい!というのが長年の夢のひとつでした。

本作のチケットを取ったとき、「やっとさんまさんに会える!」の気持ちでいっぱいで、当日は浮足立ちながら会場に向かいました。

 

本作でさんまさんは仇討で追われる武士、そしてその武士に恨みを持ち、仇討をしようとたくらむ武士を演じるのは中尾明慶さんです。

 

とにかく脱線しまくりでなかなか話が進まない!!!こんなに話の進まない舞台は初めてでしたが、さんまさんの誰にも止められない暴走っぷりが面白すぎて、会場が常に笑いに包まれているというとてつもないパワー溢れる作品でした。

 

 

どこまでがセリフでどこまでがアドリブかが分からず、舞台上の役者さん方も吹き出してしまうシーンが何度もあったり、さんまさんが共演者のみなさんにアドリブを仕掛けたりなど、そんな無茶ぶりに柔軟に対応していく役者の皆さんを尊敬しつつ、長台詞や殺陣などをしっかりとこなすさんまさんの姿が純粋にかっこよかったです。

 

 

一方で、仇討ちにつながる過去やシリアスなシーン、本作のストーリーに重みを出す部分で中尾さんの存在が非常に重要でした。

コミカルでありつつ、とある事件で殺された自身の父親も演じるという二役を演じ分けており、物語の後半、鍵となるシーンでの気迫あふれる演技に圧倒されました。

 

また、照明や音響を使った演出が非常に面白く、もはやご法度でしょ!と笑わざるを得ない手法でストーリーがさらに脱線。

 

ここまでしても本作がコントや新喜劇ぽくならないのは、佐藤仁美さんや温水洋一さんなど実力派かつコメディーにも対応できる役者が共演しているからなのだと思いました。

 

 

物語の最後、さんまさん演じる武士がこんなことを言います。

 

「明日はきっと面白くなる。そう思わないとやってられねぇだろ。」

 

諦めともとれるし、希望ともとれるこのセリフ。

そんなセリフをさんまさんに言わせる凄さ。

 

 

今の自分と重ね合わせて自然と涙が出てきたのと同時に、さんまさんからこんな言葉が聞けたという凄さで体中が痺れる、そんな感覚になりました。

 

東京公演は終わってしまいましたが、大阪公演が始まります。

さんまさんの地元大阪ですから、アドリブがさらに暴走すること間違いなしです。

 

お笑い怪獣のパワーに圧倒された、最高に幸せな3時間でした。

(上演時間2時間45分のところ、アドリブ部分が伸びて3時間に・・・笑)

 

【公演情報】

 

 

「七転抜刀!戸塚宿」

 

脚本:福原充則

演出:水田伸生

 

出演者:明石家さんま中尾明慶、山西 惇、温水洋一、八十田勇一、犬飼貴丈、吉村卓也、加瀬澤拓未、粂川鴻太、佐藤来夏、佐藤仁美

 

日時:

東京公演:2020年1月10日(金)~1月31日(金) 

大阪公演:2020年2月20日(木)~2月26日(水)

 

 

観劇日:2020年1月28日(火)19:00公演