今回のレビューは、ミュージカル「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」です。
本作を観に行きたいと思ったきっかけは、”中川晃教さんのミュージカルに行きたい…!”
という気持ちただひとつ。昨年、WOWOWのとあるミュージカル番組で聴いた中川さんの歌声にあまりにも感銘を受け、いつか主演の舞台をされたときは観に行きたい!と思ったのでした。
(あまり観劇して泣かないのですが)こんなに泣いてしまうとは…というくらいのストーリーに、素晴らしい楽曲の数々。
そして、歌上手な皆さんの圧倒的歌唱力に心揺さぶられ、感動しっぱなしの作品でした。
宝塚以外のミュージカル観劇回数がそこまで多くないため、人気ミュージカル俳優の皆さんの作品をあまり観劇したことがないなかで、絶対いつかは生歌を聞きたい!という俳優さんが何名かいらっしゃいますが、中川さんはその中の一人でした。
中川さんの歌声は、上手いのはもちろんのこと、耳心地が良すぎます。女性より高い高音をも操れる音域の広さはもちろん、声色を使い分ける技も素晴らしいです。
ハキハキしたキャラクターを演じられるイメージでしたが、今作は悪魔。
黒と赤を基調としたゴシックな衣装を身に纏い、長いマントをなびかせながらステージに登場した姿は恐ろしく静かな迫力を感じました。自身のバイオリンの才能に限界があることに気づき悩む青年・パガニーニの目の前に現れ、低音ボイスで悪魔の契約を交わそうと誘惑する悪魔。
言葉巧みに青年の心を操っていく様は、本作の中でも象徴的なシーンでした。
悪魔と契約を結んでしまったことでバイオリンの才能を手に入れたものの、代償として失うのは自身の命。
1曲、また1曲と演奏することで命が削られ、最終的には死が訪れます。
悪魔と契約してしまう青年パガニーニを演じたのは相葉裕樹さん(日替わり)。
背が高くて長髪がよくお似合いで…そして素敵な歌声でした。
悪魔に翻弄される人生を、受け身で演じてゆく難しさがあったと思いますが、お芝居も素晴らしかったですし、とても舞台映えする役者さんだなぁと思いました。
パガニーニの弟子、アーシャを演じるのは、有沙瞳さん。(日替わり)
昨年、宝塚歌劇団をご卒業された後、今作が初の舞台作品ですが、天真爛漫なキャラクターがとてもお似合いでびっくりしました。
宝塚時代は、大人っぽい女性の役が多いイメージでしたが、今回はパガニーニの家に忍び込んだりどこでもくっついていって、バイオリンを教えてもらう貧しくも明るい女性の役で、可愛らしい!といったキャラクター。
歌もお芝居もとても上手な実力者で、これからさらに多くのミュージカル出演がありそうで期待しています!
パガニーニに仕える執事を演じるのは山寺宏一さん(日替わり)。
パガニーニの執事なので、役柄的に「ご主人様」と何度も連呼するのですが、山寺さんの「ご主人様」聞くとそれはもうジーニーなのだよ!!!
山寺さんって人生で何回ご主人様って言っているんだろう…って思って観てました。
ちょっとくすっと笑えるセリフの言い方やアドリブも随所に挟み込んで、重たいストーリーの随所に笑いを提供してくださり、必要不可欠な存在でした。
そして物語の後半、山寺さんの歌声に泣かされてしまいました…。
悪魔に命を捧げてしまった男の数奇な運命を描いた作品で、ファンタジー好きにはたまらない展開でしたし、やっぱりミュージカルに行くとスカッとします!ストレス発散になる!
また、中川さんの作品に足を運びたいと思います。
【公演情報】
ミュージカル「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」
原作・脚本・作詞:藤沢文翁
作曲:村中俊之
編曲:江草啓太
演出:末永陽一
出演
アムドゥスキアス:中川晃教
ニコロ・パガニーニ:相葉裕樹/木内健人(Wキャスト)
アーシャ:加藤梨里香/有沙 瞳(Wキャスト)
エリザ・ボナパルト:元榮菜摘
コスタ:坂元健児
アルマンド:山寺宏一/畠中 洋(Wキャスト)
テレーザ:春野寿美礼
日程
東京公演:2024年4月22日(月)~5月12日(日) シアタークリエ
大阪公演:2024年5月17日(金)~5月19日(日) 新歌舞伎座
福岡公演:2024年5月24日(金)~5月26日(日) 博多座
観劇日:2024年4月28日(日)18:00公演