『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

舞台『罪と罰』を観劇した感想(ネタバレあり)

第36回のレビューは、三浦春馬さん主演「罪と罰」です。

 

 

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本作はロシアのドフトエフスキーの長編文学を題材とした作品で、舞台の脚本・演出はイギリスの演出家、フィリップ・ブリーンが務めております。

 

 上演時間は3時間超えという、ストレートプレイの中ではかなり長い超大作でしたが、息つく間もない展開がいくつも待ち受けておりました。

 

 

 

三浦春馬の演じるラスコリニコフ

 

 

三浦春馬さん演じるラスコリニコフは、自らを選ばれし者と錯覚し、”正義”のためならと人を殺めてしまう貧乏な青年。

 

自身の中に大きな野望を秘めていて、自己を過大評価してしまうラスコリニコフは、一方で、自らの罪に怯え、良心と野望との狭間で感情が揺れ動くという非常に難しい役どころです。

 

 

 

全編通して、三浦春馬さんの演技力、気迫に圧倒されました。

あまりの迫力に、演じているというより別人格としてそこに存在しているのではないかというような感覚になりました。

 

 

 

 

その空間の中でラスコリニコフは自らの正義を貫き、人を殺める。しかし、自らの過ちにおののき、気絶するシーンが前半は多く描かれておりました。

 

 

気絶するシーンは暗転し、目を覚ますと明転する。

目を覚ます度に別場面へ転換しているのだが、転換が早いため一つの長いシーンを観ているかのように感じました。

 

 

いくつかの蛍光灯が薄暗く光っている舞台上には家具や生活道具が積み重なるように無造作に置かれ、その間を演者がめまぐるしく動いていく。

 

 

全編通して驚いたのは、演者や演奏者は終始ステージからはけることなく、群衆としてステージ上に存在していたことです。

 

 

時には民衆として、時にはキャラクターの感情の起伏を表現する者として、作品の中に存在しており、かなり印象的な演出だと感じました。

 

 

階段状のステージを縦横無尽に演者が動く一方で、チェロやクラリネットの演奏者も同時にステージ上で演奏するという面白い演出もありました。

 

演奏者が衣装を着て、演者と同じようにステージ上にいて、そして演者のすぐそばで演奏するという舞台ならではの生感がありました。

 

 

哲学的で難しい作品ではありましたが、それぞれの人間関係や感情、人と人との心理戦を濃く表現した作品だと感じました。

 

 

【公演情報】

 

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019

罪と罰

 

 

原作:フョードル・ドストエフスキー

 

上演台本・演出:フィリップ・ブリーン

 

出演:三浦春馬大島優子南沢奈央、松田慎也、真那胡敬二、冨岡弘、塩田朋子、粟野史浩、瑞木健太郎、深見由真、奥田一平、山路和弘立石涼子勝村政信麻実れい・・・etc

 

東京公演:2019年1月9日(水)~2月1日(金)Bunkamura シアターコクーン

 

大阪公演:2019年2月9日(土)~2月17日(日)森ノ宮ピロティホール

 

観劇日:2019年1月19日(土)13:00公演