第51回目のレビューは、石原さとみさん主演「アジアの女」です。
昨年、4年ぶりに舞台へ出演し大きな話題となった石原さとみさんですが、今年も主演舞台をされるということで、非常に注目度の高い作品です。
※昨年度の主演舞台「密やかな結晶」のレビューは以下に記載しております。ぜひご覧ください!
本作の舞台は、大災害によって壊滅状態となったとある町。
その町に兄・晃郎(山内圭哉)と妹・麻希子(石原さとみ)が住み続けていました。
そこに売れない作家・一ノ瀬(吉田鋼太郎)が訪れ、元編集者だった晃郎へ「新しい物語」を書かせろと迫ってきました。
緊迫した状況のなかでも平穏だった兄妹の生活が、一ノ瀬の登場によって静かに壊れ始めていくのです。
純粋さと狂気さ
石原さとみさん演じる麻希子は、かつて精神を病んでいたが、徐々に回復状態に戻ってきていました。
誰も疑うことのない純粋さと、自身の感情をコントロールできず狂気性が垣間見える役柄で、微妙な精神のバランスの中で、一ノ瀬の登場をきっかけに少しずつ変化していきます。
石原さんの、人を疑わない目や、自分自身をコントロールできないほどの突発的なエネルギーで感情表現されており、目を奪われました。
闇を抱えた書けない作家
吉田鋼太郎さんの出演されている舞台を初めて観劇したのですが、鋼太郎さんの舞台上でのパワーに圧巻されました。
他のキャラクターを巻き込むパワーも、闇を抱え込んだ繊細な表現も、全部が素晴らしかったです。
【公演情報】
『アジアの女』
作:長塚圭史
演出:吉田鋼太郎
出演:石原さとみ、山内圭哉、矢本悠馬、水口早香、吉田鋼太郎
2019年9月6日(金)~9月29日(日) Bunkamuraシアターコクーン
観劇日:2019年9月23日(月・祝) 13:00公演