今回は番外編として、映画館で演劇を鑑賞した作品の感想を書いていきたいと思います。
今、5月13日から6月9日まで、蜷川幸雄さんの1周忌を追悼し、全国15の劇場で『蜷川幸雄シアター』と称して、4作品が上映されています。
今回鑑賞いたしましたのは、2006年上演、シェイクスピア作・蜷川幸雄演出 彩の国シェイクスピアシリーズ『間違いの喜劇』です。
私は一度だけ、蜷川さんの演出するシェイクスピア作品を劇場で観劇したことがあります。それは、藤原竜也さん主演で再演された、彩の国シェイクスピアシリーズ『ハムレット』です。
観劇したとき私は19歳でした。その時から舞台を観ることは好きでも、蜷川幸雄さんという偉大な演出家のこともあまり知らず、でも何故かこの作品は自分の目で観なければ絶対に後悔する、と感じたのです。
実際、観劇して度肝を抜かれました。観劇する前に予習として「ハムレット」を図書館で借りて読んだのですが、自分がその時想像しながら読んだ情景と全く異なる演出がステージ上で繰り広げられていたからです。
蜷川さんが天才と呼ばれる所以が、理解できたような気がしました。
それからほどなくして、蜷川さんは亡くなられました。
私は『ハムレット』しか、直接劇場に足を運んで観劇することができませんでした。
なので、今回のように映画館で蜷川演出の作品、舞台を鑑賞することができてとても嬉しいです。
この作品「間違いの喜劇」はシェイクスピア作品の喜劇として1594年以前に書かれた作品だそうです。
昔のことすぎていつ頃か想像もできませんが、ストーリーとしては後半につれて伏線が綺麗に回収されていくどたばたコメディーといいますか、でも最後はほろっと泣いてしまう、ハッピーエンドの素敵な作品でした。
双子が2組出てくる設定はあまりにも無茶な!絶対ないだろ!(笑)という感じもしますが、だからこそのこのどたばた喜劇!主演の小栗旬さんと高橋洋さんがそれぞれの双子を1人二役で演じています。
この作品が上演されていた2006年、小栗旬さんは23歳。・・・今の私と同い年です・・・。なんてこった・・・すごい・・・(笑)
シェイクスピアの会話は非常に難しく、かつ会話を軸に進められていくので内容を理解しながらストーリーについていくのに最初は苦労しました。しかし、喜劇なので随所にくすっと笑ってしまう演出が多々あり、動きも多く取り入れていたので、最後まで飽きずに観ることできます。
とても驚いたのは全てを通して、演者が客席に降りて、通路を使って移動するシーンがとても多かったことです。
私もかなりの回数、様々な舞台を観ておりますが、ここまで客席の空間を使用している演出はなかったです。
そのため、ステージと客席の空間としての隔てが無いような印象を受けました。演者が観客に向かって話しかけるシーンもあったりと、私たちもストーリーのなかの一部のような感覚になります。
そして、演者がすべて男性で構成されている点は非常に面白く感じました。
女性の役も男性キャストが演じており、外連味(けれんみ)をなくす演出だそう。
なるほど・・・。ごまかしを無くす、ということ。よりシェイクスピアの生きた時代に近づけようとした演出方法ということですね。
また、エンドロールのキャストの名前のなかに小栗旬さん演じる双子の兄として、小栗了さんの文字が。
まさかと思いましたが、小栗了さんは小栗旬さんの実のお兄さん。実の兄が双子の兄として出演されていたのは驚きでした!背丈も同じくらいで、雰囲気似てると思ったんだよなぁ~。
シェイクスピアの作品はやはり難しいですが、見ごたえたあってやっぱり面白いです。そして、蜷川さんのシェイクスピア作品の解釈は、観ていてわくわくさせてくれます。
本作品は5月27日~6月2日までの期間限定で上映されております。
6月3日~6月9日最終日までは彩の国シェイクスピアシリーズ『ヴェニスの商人』が上映されます。
そちらも観に行こうと思っております!
全国15の映画館と少ないですが、近くに上映映画館のある方はこの機会に蜷川シェイクスピア作品に触れてみてはいかがでしょうか!
一周忌追悼企画『蜷川シアター』
上映期間:2017年5月13日(土)~6月3日(日)
第1弾:『ジュリアス・シーザー』
第2弾:『身毒丸』
第3弾:『間違いの喜劇』
第4弾:『ヴェニスの商人』
上映映画館:
【関東】
〔新宿バルト9〕〔109 シネマズ二子玉川〕〔109 シネマズ川崎〕〔109 シネマズ湘南〕〔MOVIX さいたま〕
【近畿】
〔なんばパークスシネマ〕〔109 シネマズ大阪エキスポシティ〕〔T・ジョイ京都〕〔109 シネマズHAT神戸〕
【愛知】
〔109 シネマズ名古屋〕
【北海道】
〔札幌シネマフロンティア〕
【福岡】
〔T・ジョイ博多〕
【宮城】
〔109 シネマズ富谷〕
【広島】
〔109 シネマズ広島〕
【新潟】
〔T・ジョイ長岡〕