『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

宝塚宙組『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』を観劇した感想(ネタバレあり)

今回のレビューは、宝塚宙組『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』です。


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EXILEや三代目 J Soul Brothersらが所属するLDH JAPANが展開しているあの「HiGH&LOW」がなんと宝塚歌劇団で上演!ということで、情報解禁時から非常に話題になっていた本作。

 

男たちの抗争を描いたハイローが、宝塚の煌びやかな世界と融合するということで全く想像がつきませんでしたが、いざ観劇するとあのドラマの世界観がそのまま目の前に広がっていて感動の嵐。

 

ハイローらしさのなかにも宝塚らしさが随所に盛り込まれ、こんなにハイローと宝塚は相性がいいのかと。

脚本力と演出、そして何よりも、演者の皆さんの再現率の高さに衝撃を受けました。

 

幕開きから怒涛の展開

 

ハイローといえば、SWORD地区の5つのチーム。

「山王連合会」「White Rascals」「RUDE BOYS」「達磨一家」「鬼邪高校」

この5つのチームが拮抗しながらそれぞれのエリアを支配しています。

 

幕が開いてすぐ各チームの紹介があるのですが、まさかの大階段を使っての登場。

宝塚といえばあの大階段!を使って、各チームがステージに登場してきます。

かつてあんなに治安悪くタカラジェンヌたちが階段を下りてくることはあったでしょうか。というほど横暴に階段を下りてくる様は、観てはいけないものを観ているような気持ちに・・・フゥゥゥ!!

 

また、ドラマでも使われていた劇中歌を本作でもそのまま使用し各チームが歌い上げるので、ドラマの世界観そのままに展開されていきます。

(鬼邪高校だけは宝塚オリジナル楽曲でしたね。権利関係かな。)

 

 

全員主役の物語

 

ハイローは「全員主役」をコンセプトとしており、その通り本作も全員が主役となるようなストーリー展開となっていてとにかく素晴らしい脚本でした。

 

もちろん主人公は真風涼帆さん演じる山王連合会のコブラですが、どのチームもメインとなる場面があり、そのストーリーの繋げ方が自然で素晴らしい。

 

ドラマでも自然に各チームと山王連合会が繋がるので、ドラマの展開そのままといった形なんですが、1時間半というかなり短い上演時間のなかで5つのチームすべてのメイン場面を盛り込んでいくというのは至難の業だったと思います。

 

ドラマだと達磨一家だけ5チームのなかで異質で、前日譚という設定上、その異質さをストーリーにもう少し盛り込んでほしかったなと思いつつ、1時間半の上演時間ではさすがにそこまではむりか…とも思ったり。

 

体感としては3時間くらいの映画を観ているようなストーリーの濃さで、1秒も無駄のない内容でした・・!最高!!!!

 

5つのチームの5つの頭

 

それぞれのチームの頭を演じているのが宙組男役トップ5人。

全員あまりにも再現度が高いのですが、特にRUDE BOYSのリーダー、スモーキーを演じる桜木みなとさん、そして鬼邪高校のリーダー村山を演じる鷹翔千空さん、このお二人は見た目もさることながら仕草やセリフの言い方ひとつまで原作そっくりで衝撃でした。

スモーキーの声の出し方といいますか、儚さが窪田正孝さんそのもの。「あのスモーキーだ」となるほどの雰囲気です。

 

5チームのなかでも最もクレイジーな達磨一家。その頭である日向を演じるのは瑠風輝さん。

今年観劇したミュージカル「カルト・ワイン」ではとても真面目で素直な青年を好演していましたが、日向はその真逆のキャラクターといったところ。敵対しているコブラを見るなり一方的に喧嘩をふっかける誰が見てもヤバい奴です。劇中歌のラップも披露し、圧倒的な存在感を示しています。さらに目の動かし方(キマリ方?)が上手い。何をしでかすか分からないクレイジーさが林遣都の日向にかなり近かったです。

 

そして一番見た目のインパクトが強いWhite RascalsのリーダーRockyを演じるのは芹香斗亜さん。

CLUB HEAVENのシーンはドラマよりも宝塚らしい上品さがありつつ、Rockyが内に秘めたる強い想いはドラマ版同様に表情から見て取れます。

 

宝塚ハイロー(ヅカロー)を観てからドラマ&映画をすべて鑑賞したのですが、あまりにもキャラクターそのものが一緒すぎてびっくり。いかにドラマに寄せているかを痛感しました。

 

 

宝塚版オリジナルキャラクターの登場

 

今回、ドラマには登場しないオリジナルキャラクターとして、コブラの幼馴染「カナ」と、SWORDと敵対するグループ「苦邪組(クジャク)」が登場します。

 

カナを演じるのは娘役トップの潤花さん。

彼女が本当に…本当にカナすぎて…!カナそのものなんです…!原作があるキャラクターではないのですが何故か「カナだ!」となります。こればかりは観て頂かないとなのですが、カナの持つ素直さや屈託のない笑顔がとにかくカナでしかない!

彼女以外は考えられないほどぴったりすぎます。当て書きかな?

 

そして「苦邪組(クジャク)」がSWORDと敵対するチームとして登場。彼らをかき乱し、ラストには大乱闘が繰り広げられます。

苦邪組のリーダーであるリンを演じるのは留依 蒔世さん。今作で宝塚歌劇団を退団されるためラスト作品となります。

これぞTHE悪役といったキャラクターなのですが、5チームに負けず劣らずのキャラの濃さで、ステージ上での迫力が凄まじい。ラストを飾るにふさわしいほど、裏主人公のような立ち位置で物語が展開され、素晴らしい爪痕を残してくれています。とても愛のある配役であり、愛のある脚本だと感じました。

 

 

大迫力のケンカシーン

 

苦邪組の陰謀により、SWORDの街は火の海に。

自分達の大切な場所を奪われたSWORDは、それぞれ大切なものを守るため、苦邪組を潰しにかかります。

 

とにかくこのケンカシーンが圧巻で、ステージを360度回しながらの大立ち回り!

各チームの頭が苦邪組のメンバーと対峙し、それぞれタイマンでケンカしていく様を繋げて長回しのように展開。臨場感あり迫力ありのケンカシーンが繰り広げられていきます。

 

そのなかでも苺美瑠狂 vs 苦邪組七姉妹のケンカシーンがかっこいい!過去最大にガラの悪い娘役さん達が見れる最高のシーンです。

個人的にはどんどんガラの悪い娘役さんを見たいので、こういったキャラクターの作品ください!

 

しかも苺美瑠狂がケンカしているシーンは、ドラマ~映画ともに登場していないので、本作が初めてかと思います。天彩峰里さん演じる苺美瑠狂の総長・純子を筆頭に、苦邪組七姉妹とかっこいい立ち回りを披露しているので、個人的注目ポイントです。

 

 

 

最後は観客そろって手拍子までしちゃったり、ハイローの世界のなかに歌あり、ダンスあり!ミュージカルというよりショーに近く、これぞ究極のエンターテインメントでした!最高!!!

 

 

 

【公演情報】

 

TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』

 

原作・著作・構想:HI-AX
脚本・演出:野口 幸作

 

出演:

寿 つかさ、真風 涼帆、松風 輝、芹香 斗亜、桜木 みなと、秋音 光、紫藤 りゅう、秋奈 るい、花菱 りず、留依 蒔世、小春乃 さよ、瑠風 輝、若翔 りつ、希峰 かなた、澄風 なぎ、優希 しおん、天彩 峰里、琥南 まこと、鷹翔 千空、湖々 さくら、真名瀬 みら、水音 志保、惟吹 優羽、雪輝 れんや、花城 さあや、潤 花、花宮 沙羅、湖風 珀、風色 日向、春乃 さくら、凰海 るの、夢風 咲也花、輝 ゆう、有愛 きい、亜音 有星、栞菜 ひまり、彩妃 花、琉稀 みうさ、朝木 陽彩、嵐之 真、真白 悠希、梓 唯央、楓姫 るる、舞 こころ、陽彩 風華、愛未 サラ、山吹 ひばり、泉堂 成、美星 帆那、大路 りせ、葵 祐稀、聖 叶亜、明希翔 せい、鳳城 のあん、渚 ゆり、風羽 咲季、郁 いりや、葉咲 うらら、花咲 美玖、波輝 瑛斗、風翔 夕、結沙 かのん、奈央 麗斗、華乃 みゆ、澄乃 紬、朱 涼、織史 青、梨恋 あやめ、花恋 こまち、愛城 美紗、華楽 逸聖、輝珠 ななせ、海玖里 粋、志凪 咲杜、朝比奈 天

 

公演日程: 

2022年8月27日(土)〜9月26日(月)宝塚大劇場

2022年10月15日(土)~11月20日(日) 東京宝塚劇場

 

観劇日:

2022年9月22日(木)15:30公演、9月23日(金)13:00公演、11月6日(日)11:00公演