『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

舞台『BACKBEAT』を観劇した感想(ネタバレあり)

今回のレビューは、舞台「BACKBEAT」です。


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2019年の初演以来、4年ぶりの再演!

こんなに再演が嬉しかった作品はないです!!!

 

再演の一報を聞いたときの嬉しさたるや。初演観劇時の衝撃がかなり大きくて、この作品には他の作品にはないパワーがあったのを覚えています。

 

そして今回もやっぱり凄かったーー!やっぱ良作すぎますBACKBEAT!!!!

 

ストーリーの面白さはもちろん、生き生きとしたキャラクター達、芝居とライブの融合のような臨場感あふれる空間に、とにかく興奮しっぱなし。最高でした。

 

幻の5人目のビートルズ、スチュアート

 

本作は、画家として類まれなる才能を開花させていた、ザ・ビートルズ幻の5人目であるスチュアート・サトクリフの半生と、デビュー前のザ・ビートルズの青春と葛藤を描いた作品。

 

デビュー前のザ・ビートルズは全員が10代なので、後先考えず突っ走るエネルギッシュな若さや、酒にタバコに女にというロックな生き様を5人が全身全霊で演じていて、ひたすらにかっこいい。

 

とにかく5人が生き生きとしていて、本当にその瞬間を生きているかのよう。

セリフにはないであろうその場の感情を言葉にして、自由に喋っているのが印象的で、そのアドリブ感が芝居を越えた空気感を生み出していたように思います。

 

作られた世界ではなく、彼らがその場に生きているリアリティを常に感じる作品でした。劇中で演奏される音楽はすべて5人の生演奏。だからこそ演奏のテンポや強弱も、怒りや喜びなど、その瞬間の感情に合わせて芝居として音で表現されてるから面白い。

生演奏だからこそ出来る高度な演出でした。

 

初演時よりライブ感が増していて、ライブ大好き人間としては生演奏を堪能できるだけでも行く価値のある作品でした。しかも、観客の拍手も作品の一部として必要で、観客は作品に入り込みながら純粋に演奏を楽しみつつ、音楽を通した芝居を見ることができるという、なかなかレアな演劇体験でした。

 

 

もちろん実在していた人物を演じているわけですが、実在していた人物像を模写していたというよりかは、この作品・舞台として在るべきジョンやスチュがあの舞台上に存在しているという感覚。

だからこそとにかく全員が魅力的で愛しくて尊い。

 

役者としての力量を必要とする作品で、演奏の技術はもちろんですけど、パッションがないと成立しなくって、台本をなぞるだけではあの空間は生まれないです。ほんと。

 

この物語はジョンとスチュアートの親友という枠を超えた愛の物語でもあって、ジョンがスチュアートへ抱く尊敬と嫉妬が、痛いほど伝わってきて苦しいシーンも随所にありました。

 

スチュアート・サトクリフ役の戸塚祥太さん。

そして、ジョン・レノンを演じた加藤和樹さん。

 

戸塚さんがスチュアートなのか、スチュアートが戸塚さんなのか、時折セリフではなく本人の言葉なのではないかと勘違いしてしまうほど、スチュアートがそこにいる、という説得力がありました。

天性の芸術性や神秘的な佇まい、「この人は普通の人じゃない」と思わせる力、スチュアートは戸塚さんじゃないと演じられない...と思わせるほどでした。

 

 

スチュアートと親友であり、彼の才能に惚れ、そしてビートルズを引っ張って行ったジョン・レノン。ジョンを演じた加藤和樹さんはとにかく格好良くて、人間臭くて、愛しかったです。

 

ジョンとスチュアートはとにかく馬が合うんでしょうね。

 一緒にいて楽しくて、スチュアートの才能に惹かれて、彼の成功を誰よりも願っていて、大きな夢を一緒に見たかったんでしょう。ジョンの夢には彼の存在が必要だった。スチュアートがジョンにとって心の支えだったんだろうな、と。

 

 

スチュアートの心が音楽から離れていくなかで、焦りや苛立ちが加藤ジョンの表情からストレートに伝わってきて苦しかった。加藤さんの繊細な表現力が刺さりました。

ジョンとスチュアートが夢のために別々の道で生きていくことを決めた場面、セリフはほぼなくとも観客の胸に響くシーンでした。

 

さらに、ジョンがスチュアートにベースを教えるシーン、浜辺でお互いの夢を再確認して抱き合うシーン、そしてラスト、一緒にたばこを吸いながら肩を組んで暗闇に消えていく姿はどれも美しいシーンで大好きな場面たちです。

 

ジョージ・ハリスンを演じたのは辰巳雄大さん。5人のなかでも最も若い役で、10代ならではの熱さと青春さを誰よりも体現していました。さらに劇中、ギターソロを何度も披露し、前作よりも一番パワーアップしていたのでは!

 

ポール・マッカートニー役のJUONさんは圧倒的歌唱力もさることながらギターを左手に持ち替えて演奏するという凄さ。

 

上口耕平さん演じるピート・ベストは5人の中でも一番冷静。でも誰よりも熱いものを胸に抱えているキャラクター。ラストシーン、一心不乱にドラムを叩く姿は胸を打たれました。

 

そもそも初演時からメンバー変わらず再演できてることが本当に凄いですし嬉しい。

初演から重ねてきた信頼や深い関係性がステージ上でも反映されていると思います。

 

演出もとても素敵で、場面転換もすべて繋がるような工夫がなされていたり、ステージを大きな金色の額縁が囲っていて、人物や重要なシーンを浮かび上がらせる効果があったり。個人的にも額縁で囲う演出とても好きなので、めっちゃ良い~と思ってました。

 

光の演出も、彼らの未来を照らすかのようにまっすぐ直線的な光が印象的でかっこよかった...。

 

 

観劇して思いましたが、音楽と芝居の融合、唯一無二の作品すぎて、この作品は再演するに決まってたな!と思いました。

BACKBEATを通してザ・ビートルズの曲が好きになりました。アルバム「PLEASE PLEASE ME」聞いてるだけでいろんなシーン思い出して泣きそう...。これからもビートルズの曲にもっと触れようと思います。

そして、再々演、いつでも待ってます!!!!!

 

 

【公演情報】

 

舞台「BACKBEAT」

 

作:イアン・ソフトリー、スティーヴン・ジェフリーズ

翻訳・演出:石丸さち子

音楽監督:森大輔

 

出演:戸塚祥太(A.B.C-Z)、加藤和樹、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、JUON(FUZZY CONTROL)、上口耕平、愛加あゆ、鍛冶直人、東山光明、西川大貴、加藤将、工藤広夢/尾道イサオ

 

公演日程

プレビュー公演:2023年4月23日(土) 江戸川区総合文化センター 大ホール

兵庫公演:2023年4月28日(金)~5月3日(水・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

熊本公演:2023年5月6日(土)~5月7日(日) 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館) 大ホール

大阪公演:2023年5月20日(土)~5月21日(日) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール

東京公演:2023年5月24日(水)~5月31日(水)東京建物 Brillia HALL

 

観劇日:2023年5月24日(水)18:30公演