『書きます!#観劇レビュー』

鑑賞した舞台のレビューをただただ書き残していきます!

宝塚宙組ミュージカル「『Never Say Goodbye』-ある愛の軌跡-」を観劇した感想(ネタバレあり)

第81回目のレビューは、宝塚宙組ミュージカル「『Never Say Goodbye』-ある愛の軌跡-」です。


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実は、昨年、宝塚デビューをしました・・・!

 

なかなか敷居が高く観劇の機会がなかったのですが、会社に宝塚大好きお姉さまがおりまして、お誘いいただきました。

 

「とりあえず!全組観てほしい!!!!!!」という先輩の熱い思いを真正面から受け止め、昨年より以下の演目を観劇しています。

 

宙組「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-/Délicieux(デリシュー)!-甘美なる巴里-」

雪組「CITY HUNTER/Fire Fever」

星組「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」

月組「今夜、ロマンス劇場で/FULL SWING!」

と、実はすでに4作品観劇してまして、今回の宙組「Never Say Goodbye」で5作品目となります。

 

それぞれ演目も全く異なりますし、各組によって様々な特徴があるのだと観劇するたびに驚きでいっぱいです。

 

花組「元禄バロックロック/The Fascination(ザ ファシネイション)!」は新型コロナの影響で観劇予定の公演が中止となってしまい、花組観劇デビューは一旦お預け。

次回の演目の際にはぜひ観劇したいと思っています。

 

昨年、宝塚観劇をお誘いいただいた際、「宝塚・・・沼ったら大変そうだな・・」と思いながら恐る恐る宙組の「シャーロック・ホームズ/Délicieux」を観劇したはずなんですが、あれ???

半年で既に頭まですっぽり沼に引きずり込まれているんですが・・。

「大変そうだな」という心配は一体なんだったんでしょうか。誰にも分らない宇宙の謎・・・。

 

観劇5作品目にしてだんだん宝塚の世界・雰囲気に慣れてきたというのもあり、これからは宝塚の作品についてもレビューを残していきたいと思います。

 

なるべく冷静に感想を残したいと思うので、基本はお芝居の感想を書きたいと思います!(ショーやフィナーレは文字化できないくらい最高なので!!!!!)(涙)

 

 

宝塚公演の種類

 

そもそも宝塚の公演には2種類あり、「1部お芝居、2部ショー+フィナーレ」「1部&2部お芝居+フィナーレ」があります。今回の宙組「Never Say Goodbye」は1部も2部もお芝居の”1本もの”と呼ばれる演目でした。

なので、1部のみお芝居の演目と異なり、2部までと長尺なため、歌もしっかり・演技もじっくり圧巻の演技で魅せてくれます。

 

 

スペイン内戦下での愛の物語

 

-あらすじ-

主人公の写真家ジョルジュはとあるパーティーで劇作家のキャサリンと出会う。撮影のため、彼らはスペイン・バルセロナへと向かったのだが、その矢先スペイン内戦が勃発。ジョルジュとキャサリンはスペインを見届けるためアメリカには帰らず、ここに残ることを選ぶ。内戦の現場に遭遇したジョルジュは、こんな状況の中でも希望を失わず、自由を守るために必死に戦う民衆に心打たれる。彼は本当にやりたい事にようやくめぐり合った、と多国籍義勇軍に参加を決意。死を覚悟したジョルジュはキャサリンにフィルムを渡し、彼女に写真集を出版してスペインの現実を世界に伝えてほしいと頼む。そして二人は、別れる決意をする・・・。

 

主人公の写真家ジョルジュは宙組トップスターの真風涼帆さん。

劇作家のキャサリンはトップ娘役の潤花さんが演じられております。

 

ジョルジュは自分の信念を貫く強さを持っている男です。最後まで希望を捨てず戦った一人の男の生き様が全編を通して描かれています。愛する人を守り、そして愛しているからこそ別れを選ぶというラストはとても切ないです。

前作の「シャーロック・ホームズ」の時も感じましたが、ステージ上にいる真風さんの存在感には圧倒されます。ジョルジュの揺らがない信念をしっかりと表現していて、強くてかっこいい。歌は間違いなく素晴らしいのですが、他の男役の方より正統派プリンスみがかなり強いなぁと個人的には感じていて、役柄も相まってとにかくスタイリッシュでした。

 

キャサリン役の潤花さん。潤花さんの台詞の言い方がとにかく上手です。ヒロインという特性上喜怒哀楽がしっかりしているキャラクターを演じることが多いかと思いますが、シーンごとに強気・悲哀といった感情が表情や声色に乗ってしっかり客席に届き、見ているこっちまで感情を揺さぶられるお芝居をされていると感じました。

 

圧巻のお芝居

 

そして、私が「シャーロック・ホームズ」で大好きになりました宙組男役の芹香斗亜さん。シャーロック・ホームズでは救いのない悪人モリアーティー教授を演じておりましたが、ガラッと変わって今作では、情熱的で男気のある闘牛士ヴィセント役を演じておりました。

彼女への愛をオープンに表現したり、内戦で戦うため先陣を切って軍を率いるなど、とにかく勇ましい姿の熱演でした。

芹香さんは受けのお芝居が本当に上手ですね・・自身は台詞がないシーンの感情を表情でとても丁寧に演じられていて、器用さも兼ね備えていると感じました。

 

今作でジョルジュたちの大きな敵となる統一社会党幹部であるアギラールを桜木みなとさん。

私は宙組前作のショー「Délicieux」での桜木さんの満面の笑顔に心わしづかみにされたのですが、今作のお芝居では笑顔を封印し、性悪で俺様キャラの敵アギラールを演じています。敵役ということで、観劇前から「絶対に今作での注目ポイントになる・・」と思っていたのですが、想像以上に桜木さんのアギラール、凄まじかったです。

物語のキーであり、ストーリーをかき乱す重要なキャラクターなので、とにかくパワフル。1対50のような人数での対比でも圧倒的な存在感で、そして何よりも目の表現力がとんでもなかったです。目のお芝居、目で感情を伝える力がとにかく強かったです。

そして芹香さん同様、受けのお芝居が本当に上手です。対立する意見を聞いているときのアギラールのイラつきや、「ったくバカバカしい・・」といった相手をバカにするような表情が本当に上手で、芯までキャラクターになりきるってこういうことなんだな、と思いましたし、台詞がなくともこんなにキャラクターの感情が伝わってくるのかと驚きの連続でした。

前作でシャーロックに振り回される愛らしいワトソンを演じていたとは思えない全くの別人ぶりでした。

 

 

無駄のない場面転換

 

宝塚作品はすべて一切無駄のない場面転換で毎回感動するのですが、今作においても、ステージを回転させながら大人数での行進シーンがありものすごい迫力でした。そのようなキャラクターが入れ替わり立ち代わりの複雑な場面展開は物語にパワーと厚みを持たせていました。

 

ヴィセントを筆頭に闘牛士たちの、マントを使ったらしさ全開のダンスシーンや、内戦に加わることを決意した市民たちの覚悟を歌ったナンバーは一糸乱れぬダンスも相まってかなりの迫力で、これから戦闘に向かうという強い意志も伝わってくる場面でした。

 

 

 

個人的に宙組は人生で初めて触れた宝塚ということもあって、一番思い入れが強い組でもあります。好きな役者さんもたくさんいらっしゃいますし、また次回公演が楽しみです。

 

 

 

【公演情報】

 

ミュージカル『NEVER SAY GOODBYE』-ある愛の軌跡-

 

作・演出:小池 修一郎

作曲:フランク・ワイルドホーン

 

出演者:寿 つかさ、真風 涼帆、松風 輝、芹香 斗亜、春瀬 央季、桜木 みなと、瀬戸花 まり、秋音 光、紫藤 りゅう、秋奈 るい、花菱 りず、水香 依千、留依 蒔世、小春乃 さよ、穂稀 せり、瑠風 輝、若翔 りつ、希峰 かなた、澄風 なぎ、優希 しおん、天彩 峰里、愛海 ひかる、琥南 まこと、鷹翔 千空、湖々 さくら、真名瀬 みら、水音 志保、惟吹 優羽、雪輝 れんや、花城 さあや、潤 花、花宮 沙羅、湖風 珀、風色 日向、春乃 さくら、凰海 るの、夢風 咲也花、輝 ゆう、有愛 きい、亜音 有星、栞菜 ひまり、彩妃 花、琉稀 みうさ、朝木 陽彩、嵐之 真、真白 悠希、梓 唯央、楓姫 るる、舞 こころ、陽彩 風華、愛未 サラ、山吹 ひばり、泉堂 成、美星 帆那、大路 りせ、葵 祐稀、聖 叶亜、鳳城 のあん、渚 ゆり、風羽 咲季、郁 いりや、葉咲 うらら、花咲 美玖、波輝 瑛斗、風翔 夕、結沙 かのん、奈央 麗斗、華乃 みゆ、澄乃 紬、朱 涼、織史 青 / 夏美 よう

 

 

兵庫公演:2022年2月28日(月)~3月14日(月) 宝塚大劇場

東京公演:2022年4月2日(土)~5月1日(日) 東京宝塚劇場

 

 

観劇日:2022年4月5日(火)18:30公演